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特集 : 福祉・介護

困った時すぐ頼れぬ現状 1人での介護、体調不良も無理して 短期入所は「2カ月前」予約【障害者と生きる 第3章 成人㊥】

 渡辺裕之さん(58)=静岡市清水区=の息子、隼(しゅん)さん(24)は成人後、平日午前9時半から午後3時半まで通所施設に通う。それ以外の時間や休日は裕之さんが1人で介護をする。ヘルパーは呼べるが、医療的ケアはできず時間も限られるため、満足なサポートは受けられない。訪問看護師なら医療行為ができるが、人材不足でなかなか呼べず、夜間はまず確保できない。

隼さんのたん吸引を行う渡辺裕之さん=2021年10月、静岡市清水区
隼さんのたん吸引を行う渡辺裕之さん=2021年10月、静岡市清水区

 「年齢的に私の体も万全ではありません。ポリープが見つかったり、原因不明の体調不良が増えたりと満身創痍(そうい)。隼が通所施設にいる間になんとか時間を作って働こうという元気すらもうないんですよね」
 隼さんが医療型の短期入所施設を利用できれば、裕之さんはもう少し、体を休めることができる。2021年4月、裕之さんはゴールデンウイーク中も利用できる短期入所施設の予約を試みた。満員だった。
 1人での介護。日に日に疲れがたまっていく。「どうしても休みたくなる時がある。でも簡単にはかなわないのが実情です。予約は2カ月前じゃないと取れません。急に体調を崩して一晩預かってほしくなった時はどうすればいいのか」
 困った時にすぐに頼れない短期入所の現状に不安を抱える。体調が悪くなっても、無理をしてやり過ごす以外に今は方法がない。
 いっそ長期入所施設に預けてしまえば楽ができると言われるかもしれない。でも「少しでも長くわが子と一緒にいたい。それは親としての願いなんです」。
 新型コロナ感染拡大により、状況は一層厳しくなった。訪問看護師はますます予約が難しくなり、せっかく取れていた短期入所施設の予約がキャンセルになったこともあった。
 感染対策にも人一倍注意を払う。「もし自分が感染してうつしてしまったら…」。重度障害で呼吸器疾患もある隼さんの身に何が起きるか分からない。高齢の母親も心配だ。自分が隔離されたら、2人の介護は誰がやるのか。万全を期し、外出はほとんどしなくなった。「何事もなく、早く収束してほしい」。祈るばかりだった。
 しかし、22年2月2日、恐れていた事態に見舞われた。母美奈江さん(89)の新型コロナ陽性が判明した。

 <メモ>医療型短期入所 在宅で生活する医療的ケアが必要な子どもや障害者を介護する家族を支えるサービス。介護者が緊急時や休息を目的に、1泊2日など、短期的に病院や診療所に医療的ケア児・者を預けることができる。

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