盛り土、前所有者主導か 熱海土石流、音声データ「現場責任者」が所持

 熱海市伊豆山の大規模土石流の起点となった盛り土に関する県と市の公文書で、造成の「現場責任者」とされる男性が4日、市内で記者会見を開き、土地の前所有者である神奈川県小田原市の不動産管理会社の代表が盛り土造成を主導したことを示唆する音声データを所持していることを明らかにした。男性は県警と遺族らでつくる「被害者の会」に提出する考えを示した。

申請書類上の「現場責任者」とされた男性。盛り土造成への関与を否定した=4日午前、熱海市
申請書類上の「現場責任者」とされた男性。盛り土造成への関与を否定した=4日午前、熱海市

 男性は、3月に行われた熱海市議会の調査特別委員会(百条委員会)に参考人として出席した。同社が分譲を計画していた起点周辺の宅地造成に関わった経緯があり、現場責任者として「名義を勝手に使われた」と主張し、盛り土への関与を改めて否定した。
 男性は2009年11月、同社代表が盛り土の是正計画について市職員と協議した際の音声を録音していたという。その中では代表とみられる男性が「工法はうちが協議して(施工業者に)伝えればいい」などと述べている。代表はこれまでの取材に、造成行為への主体的な関与を否定しているが、音声では代表が造成を主導していたことを示唆していた。
 男性は百条委で、現所有者から盛り土の防災工事として水路整備を依頼され、完遂したものの、工事代金が支払われなかったため「他の工事は保留した」と説明していた。この日は「残りの工事は現所有者がやると決まっていた」と説明を修正した。市によると、一連の工事の完了届は提出されていない。

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