漁獲激減、窮地の浜名湖アサリ 「光」に再生託す 浜松ホトニクスと浜名漁協がプロジェクト

 漁獲量が激減している浜名湖のアサリの再生に向け、光学機器メーカーの浜松ホトニクス(浜松市中区)と浜名漁協(同市西区)が光技術を活用したプロジェクトに取り組んでいる。光合成を促して餌になる植物プランクトンを安定的に生産し、資源の回復を目指す。湖内で2022年度から、本格的な実証実験を始める。

3色のLEDライトで照らした水槽。アサリの餌になる植物プランクトンを培養する=3月下旬、浜松市西区
3色のLEDライトで照らした水槽。アサリの餌になる植物プランクトンを培養する=3月下旬、浜松市西区

 浜名湖東岸の村櫛漁港(同区)にある浜名漁協施設内には、信号機のように青と黄、赤の3色の発光ダイオード(LED)ライトで照らした水槽が並ぶ。培養しているのは植物プランクトンの「パブロバ」だ。
 浜ホトの担当者、松永茂さん(58)は「パブロバは餌料効果がとても高く水生生物がよく育つが、生産が不安定だった」と話す。光合成を行う細胞小器官の葉緑体を自ら消化してしまうのが原因で、松永さんは光の最適な比率を研究。水槽内に水流を起こして3色の光を繰り返し当て、葉緑体の消化を抑えるのに成功した。
 研究成果を社会還元するため、20年度からパブロバを餌に使ったアサリの飼育を開始。水槽内で育てた稚貝を浜名漁協とともに浜名湖に試験放流したところ、自然環境下でも親貝に育つことを確認した。パブロバで育てたアサリは自然個体に比べて繁殖につながる精子や卵の放出量が圧倒的に多く、「給餌による効果と考えられる」と松永さんは説明する。22年度は放流量を増やしたり、期間を延ばしたりして検証を進める。
 浜名湖では周辺地域で下水道の水質浄化が進む一方、「栄養源になる窒素やリンが大幅に減ってプランクトンも減少している」との指摘があり、県が実態を調査している。浜名漁協の渥美敏組合長は「浜松ホトニクスと取り組むプランクトンの培養が順調に進み、今後に期待している。資源回復に向け、漁協としても親貝の保護や漁獲制限など最善を尽くしたい」と強調する。

 <メモ>浜名湖のアサリ漁 2021年の漁獲量は、過去最低の100トン。1989(平成元)年以降で最も多かった2009年の6007トンに比べると、約60分の1にまで激減した。不漁の原因は特定されていないが、水温や塩分濃度の上昇、餌の植物プランクトンの減少、クロダイによる食害などが複合的に絡み合っているとみられる。
 

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