ネギ生産法人「アドリ」(富士宮市) 小河麦人代表 栽培計画 数値化し管理【キーパーソン】

 新規就農から5年で高品質なネギの安定供給を確立し、計10ヘクタールの作付面積で年間約200トンを外食産業などに出荷している。2021年にはブランドネギ・富士の雅ネギを新たに立ち上げ、産地化を見据える。土壌分析の知見を生かした農業経営の秘けつを聞いた。

小河麦人氏
小河麦人氏

 -安定供給の狙いは。
 「農業で組織的なビジネスを実現するため、BtoBの業務用ネギの生産を始めた。飲食業者の取引先からは本当なら国産を中心に使いたいが価格よりも安定供給がネックになっているとの課題を聞いた。高品質なネギの安定供給が解決できれば取引先との交渉も可能になり単価を上げていけるのではないかと考えた」
 -生産上のポイントは。
 「土壌診断を基に畑ごとに施肥設計し、ミネラルバランスを整えている。塩基飽和度の割合で言えばカルシウム・マグネシウム・カリウムが5対2対1のバランスが良い状態とされる。畑に肥料を繰り返し入れることでミネラルバランスは崩れていく。人も畑もバランスの取れた“食事”が必要。畑を健康に保つことで作物が養分を吸収しやすくなり、反収(10アール当たりの収量)や品質につながる」
 -経営管理上の工夫は。
 「台風などに備え、必要な出荷量よりも作付面積を余分に確保して生産している。安定供給を実現するためには捨てる覚悟も必要。また、栽培計画では正確な収穫量を計算するため、ネギの場合、畑の面積ではなく畝の長さで管理している。畑の状態も、栽培計画も全て数値化して管理することを徹底している」

 おがわ・むぎと 大学卒業後、農業資材販売店で約8年間、アドバイザーとして農家を支援してきた。2017年に農業生産法人「アドリ」を立ち上げ、現職。35歳。

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