ルート選定時 上流「大量湧水」JR東海認識 環境配慮書に明記せず 山梨では迂回【大井川とリニア】

 リニア中央新幹線のルート選定を巡り、事業主体のJR東海が環境影響評価(アセスメント)の配慮書を公表した2011年の段階で、大井川上流域で大量湧水が発生する恐れがあると認識していたことが26日までの同社への取材で分かった。同じ配慮書で山梨県内の区間には、高圧湧水の恐れが記載され、湧水の可能性を理由にルートを回避したことが記されていた。

JR東海が作成した配慮書のルート位置図
JR東海が作成した配慮書のルート位置図
JR東海のルート選定に関する資料への記載とルート回避の有無
JR東海のルート選定に関する資料への記載とルート回避の有無
JR東海が作成した配慮書のルート位置図
JR東海のルート選定に関する資料への記載とルート回避の有無

 JRは両県の湧水の恐れを把握しながら、ルート選定への反映が異なったといえる。対応の整合性が問われそうだ。
 配慮書は幅約25キロのルート帯を幅3キロの概略ルートに絞り込む段階で作成された。山梨県内のルートは甲府盆地西側にある巨摩山地付近で大きく南側に迂回(うかい)し、大井川上流域に伸びている。JRはホームページに掲載した配慮書に「地質が脆弱(ぜいじゃく)で、土かぶり(トンネルの深さ)が大きく、高圧湧水が発生する恐れがある」と記し、湧水の発生可能性を理由に巨摩山地北中部はルートを回避したと明記した。
 一方、大井川上流域は配慮書に「(地質が)破砕され脆弱」「土かぶりが大きい」とあり、巨摩山地北中部と表記が似通っているものの、「トンネル内湧水による地表への影響は小さい」と記された。ルート選定で回避した経緯はみられない。
 JRは取材に、巨摩山地の配慮書記載の根拠を「国鉄時代から実施してきた地形・地質調査の結果等を踏まえて記載した」と書面で答えた。大井川上流域については「大量湧水が発生する恐れがあることは認識していた」と回答した上で、大井川の水資源を守る観点からルート選定で考慮したかとの質問には「配慮書に記載している通り。それ以上は答えられない」とした。
 県の担当者は取材に「本県側の大量湧水の恐れを認識しながら、なぜ、配慮書に記載しなかったのか。把握している情報をその時点で明らかにしないと、流域の不信感につながる」と話した。
 JRは13年3月に地質調査会社に委託して作成した資料に、大井川直下で高圧大量湧水が発生する恐れがあることを記載しているが、資料を一部しか公表していない。

 <メモ>リニア中央新幹線のルート選定 国土交通省の小委員会が2010年10月、南アルプス(大井川上流域)をトンネルで貫通するルートを採用した。ルート幅は約25キロ。その後、JR東海が南アルプスルートの幅を絞り込み、11年6月の環境影響評価の配慮書段階で幅3キロの概略ルートに狭めた。13年9月の準備書段階で現在の詳細ルートを公表した。
 

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