浜松市博物館 収蔵資料の紛失を隠蔽 2018年、館長ら把握
浜松市博物館(中区)が収蔵資料6点を紛失した問題で、市は25日、再調査の結果、このうちの1点が2021年12月に見つかったと発表した。一方、現在も所在不明の残り5点のうちの1点は遅くとも18年時点で紛失の事実が判明していたにもかかわらず、担当職員が紛失していないかのように偽り、確認検査をすり抜けていたと明らかにした。当時の上司や館長を含め、少なくとも3人が紛失を把握していた。

18年に紛失事実を偽ったのは「浜松城二の丸絵図」。市が1995年に206万円で古美術商から購入した。市によると、取得価格200万円以上の資料は原則として3年に1度、調達課が「重要物品」の所在を現地で確認する。18年の調査時は担当者が別の絵図が入った箱を示し、二の丸絵図が入っているかのように説明したという。
担当者が示した箱と台帳に貼られた箱の写真を調査課職員が照合した際、写真は別の資料の箱だったが、調査に当たった職員は箱の中身までは確認していなかった。
現時点で、誤った写真が台帳に載った経緯や、すり抜けを企図した理由、18年以前の調査の対応状況などは不明。市は遅くとも11年には同絵図が紛失していたとみている。
同日の記者会見で中村公彦文化振興担当部長は、組織的に紛失の隠蔽(いんぺい)を図っていたかについては明言を避けた。さらに詳しい調査を行うという。
再調査で見つかった1点は「東海道名所図会」(購入金額12万円)。同館収蔵の別資料の中に混在していたという。未発見の5点の購入総額は357万円に上る。