浜北強殺に無期判決 返済免れる意思認定 静岡地裁浜松支部

 浜松市浜北区の会社社長の男性=当時(38)=を借金の返済を免れるために殺害したなどとして、強盗殺人や詐欺の罪に問われた元会社役員の男(43)の裁判員裁判判決公判で、静岡地裁浜松支部(大村泰平裁判長)は25日、「強固な殺意に基づく残忍な犯行」として、求刑通り無期懲役を言い渡した。
 弁護側はこれまでの公判で「借金を返すめどがあり、強盗の意思はなかった」と主張。強盗殺人罪が成立するかが最大の争点だった。
 大村裁判長は判決理由で、被告が知人への貸付金の回収や事業の手数料を「(男性への)返済に充てるつもりだった」と主張したのに対し、「事件当時、知人から返済を受けられると現実的に認識していたとは考えられず、手数料による返済計画も被害者に提示していない」と退けた。その上で「債務の支払いを相当期間免れられるとの認識を持って(男性を)殺害していて、強盗の故意が認められる」と結論付けた。
 被告が凶器の包丁や、犯行時に着ていた黒色の衣服を事件数日前に購入した点は、「被害者から強く返済を要求されて追い詰められた状態になり、殺害の準備を進めた」と計画性を認めた。
 判決によると、被告は2019年9月から10月までの間、投資の運用資金名目で男性から現金1千万円をだまし取った上、返済を免れようと、同年12月8日、包丁で男性の首や背中を刺して死亡させた。

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