テーマ : 裾野市

裾野のキヌア特産化 生産と販売拡大、両輪で【湧水】

 裾野市で特産化に向けて試験栽培されている南米原産の雑穀「キヌア」を使ったクラフトビールが2月下旬、発売された。裾野産キヌアの認知度向上とブランド化を目指す取り組み。生産者を増やすには、収益につながる販路開拓が不可欠。裾野産キヌアの付加価値を高め、消費者に訴求する戦略を展開してほしい。
 キヌアは高タンパクでミネラル、ビタミンが豊富なスーパーフードとして、健康や美容への意識が高い女性に人気が高い。日本で流通するキヌアはほとんどが輸入品で、国内での生産は限られる。国産キヌアの産地としてイメージを定着できれば、新たな特産品として注目を集めるチャンスになる。
 市と須山東富士農事組合、静岡大農学部は2019年度から5年間の計画で、須山地区の農地約4200平方メートルでキヌアの試験栽培に取り組んでいる。1年目は悪天候で6キロにとどまった収量も3年目の本年度は150キロまで増加した。残り2年間で地域に適した栽培法を確立し、本格生産の基礎をつくりあげたい。
 生産への参入者を増やすには、販路の確保も求められる。現状では、国産は輸入品に価格競争では太刀打ちできない。安全・安心や、富士山の麓で栽培したというイメージをブランド力につなげ、「多少高くても裾野産を買いたい」と思わせるようなPRをしなければならない。
 ビールもその一手だ。商品化した一般社団法人南富士山シティはビール発売に合わせ、裾野産キヌアを紹介するリーフレットを作製した。担当者は「地域自慢の農産物にし、頑張った生産者がしっかりと稼げるようにしたい」と意気込む。
 収量が限られている今は、量販店などにまとまった納入ができず、全国的な販路確保は難しい。まずは加工品などを通じて地元での消費を図ってほしい。生産拡大と販路開拓を両輪として進める必要がある。

いい茶0

裾野市の記事一覧

他の追っかけを読む
地域再生大賞