テーマ : 熱海土石流災害

元社員証言「現所有者、危険認識」 熱海土石流百条委、産廃の埋め戻し指示

 熱海市伊豆山の大規模土石流に関する市議会の調査特別委員会(百条委員会、稲村千尋委員長)は18日、前日に続き参考人招致を行った。起点になった盛り土を含む土地の現所有者が経営するグループ会社の元社員は、現所有者が盛り土崩落の危険性を認識していたと証言し、起点付近に産業廃棄物を埋めるようグループ会社の従業員に指示していたことを明かした。

 現所有者は2011年2月、盛り土を造成した神奈川県小田原市の不動産管理会社から約35万坪(約1・2平方キロ)の土地を3億円で購入。元社員は盛り土の崩落対策について行政と協議し、その内容を現所有者に伝えていたという。しかし「全く聞く耳を持たなかった」と述べた。
 現所有者は、盛り土造成の「現場責任者」とされる男性に防災工事を依頼したものの、工事代金は不動産管理会社が支払うべきだとして、男性の請求に応じなかった。結局、男性は工事から手を引き、工事は未完のままになっている。
 土石流の起点付近には不動産管理会社が放置した産業廃棄物があり、現所有者は13年1月、県に「善意をもって解決する」と書面で伝えた。しかし元社員によると、現所有者は推定400トンの廃棄物のうち約20トンを処分し、残りは現地に埋め戻させたという。
 同日は伊豆山の自宅兼店舗が被災した高橋幸雄市議も参考人として質疑を受けた。高橋市議は逢初(あいぞめ)川源頭部で「大規模な開発が行われていることは知っていたが、盛り土のことは知らなかった」と述べた。土砂が流出し伊豆山港に濁りが出た際、市に対応を何度も求めたが、「結果的に土石流が起き多くの人が犠牲になった。もっと行政に地元の声を届けるべきだった」と悔やんだ。

 ■市の認可に甘さ 土木設計専門家指摘
 熱海市伊豆山の大規模土石流の起点の盛り土を巡り、18日の市議会調査特別委員会(百条委員会)に参考人として出席した土木設計の専門家は、盛り土を造成した不動産管理会社(神奈川県小田原市)に対する許認可など市の行政手続きに甘さがあったと指摘した。
 不動産管理会社は起点周辺の3カ所で風致地区内行為許可を市から得ていた。専門家はこのうち2カ所が隣接し、同時期に工事が行われため森林法違反の可能性があるとした。「市は林地開発許可の有無を県に確認するべきだった」と述べた。
 森林法の林地開発許可や都市計画法の開発許可を適用していれば技術基準が厳しくなり、調整池の設置や河川改修などが必要になる。専門家は「事業者にとって負担が大きくなり、(不適切な開発の)抑止力になる」とし、これらの法律を市や県がどのように取り扱っていたか検証する必要があると述べた。

いい茶0

熱海土石流災害の記事一覧

他の追っかけを読む