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社説(3月18日)東北で震度6強 被災の全容把握を急げ

 福島県沖を震源地とする強い地震が発生し、宮城県登米市や福島県相馬市などで震度6強を観測した。3人が死亡し負傷者は100人を超えた。被害が刻々と明らかになっている。政府は自治体と連携して救援に全力を挙げ、被災状況の全容把握を急いでほしい。
 気象庁によると、震源の深さは約57キロで、地震の規模は暫定値でマグニチュード7・4。震源は太平洋プレート内部で、東日本大震災の余震域。北海道から九州まで、揺れは国内の広い範囲に及んだ。静岡県内では富士市と御殿場市で最大震度4を観測し、県東部で大規模停電が発生した。
 直前にも宮城、福島両県で強い揺れを観測した。気象庁は「今後1週間程度は最大震度6強程度の地震に注意を」と呼び掛けた。東日本大震災に匹敵する揺れだったと話す人がいる。子どもからお年寄りまで被災者の心のケアが必要だ。震源地から遠い埼玉や神奈川、山梨の各県でもけが人が出た。
 東北新幹線は下りのやまびこが福島-白石蔵王間で脱線した。国土交通省によると、地震による営業運行中の新幹線の脱線は2004年10月の新潟県中越地震での上越新幹線以来2例目。乗客75人と乗員3人の計78人にけがはなかったものの、「車体がジャンプしたようだった」と恐怖の瞬間を語った乗客がいる。
 現場付近では橋脚が損傷し、架線を支える柱が傾いた。JR東海は想定東海地震などに備え、全線(東京―新大阪)で08年度末までに柱部分に鉄板を巻き付け、柱の本数を増やすなど、高架橋の耐震化を完了させた。地震の揺れを感知し、車両を緊急停車させる仕組みも備える。今後、東北での脱線の原因を精査し、さらなる対策の必要がないかどうか精査してほしい。
 宮城県内の東北自動車道では路面に亀裂や隆起が生じた。静岡県内では、09年に発生した震度6弱の駿河湾地震で、牧之原市の東名高速道路の盛り土が崩壊した経過がある。新幹線や高速道路など交通の基幹インフラが甚大な損害を被ると、救助救援や被災地の復旧を阻害する。静岡県は被災情報の収集を進め、県内の交通網を幅広く再点検すべきだ。
 気象庁は地震直後から宮城、福島両県に津波注意報を発表した。揺れは強かったが、震源が57キロと深かったことから警報ではなく注意報にとどめた。観測された津波高は宮城・石巻港で30センチ、仙台港や福島・相馬港で20センチだった。情報発信は適切だったとみられるが、住民避難が順調に行われたかを検証する必要がある。

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