⚽“鉄人”伊東輝悦 最年長、公式戦出場目指す J3沼津、プロ30年目
サッカーJリーグ3部(J3)アスルクラロ沼津の元日本代表MF伊東輝悦(47)が、プロ30年目の節目のシーズンに臨む。J3最年長出場記録を持つ“鉄人”だが、過去2年、公式戦の出番はない。「やるからには試合に出たい。そのために良いトレーニングをするだけ」。12日の開幕に向け、年を重ねても変わらない情熱を燃やす。
Jリーグ初年度の1993年から18年間をJ1清水で過ごした。2017年に沼津に加入し、6年目を迎える。19年11月に45歳でリーグ戦に出場し、J3最年長記録を更新。29年のプロ生活を「環境と人に恵まれて長くできている。感謝しかない」と振り返る。
若手と同じメニューをこなし、子どものサッカー教室などの地域貢献活動にも積極的に協力する姿勢は他の選手の模範。沼津の大半の選手が20代以下だけに「息子とサッカーしてるみたい」と笑う。「ピッチでは年齢は関係ない。おじさんに負けちゃ駄目だと思ってほしい」と若手に刺激を与えることが原動力になっている。
見据えるのは3季ぶりのリーグ戦出場。2月の日本フットボールリーグ(JFL)クリアソン新宿との練習試合では、本職のボランチではなくトップ下で途中出場し、右サイドの崩しから決勝点を演出した。「もともと攻撃が好き。トップ下も面白かった」。衰えない好奇心と向上心を実戦で見せつけた。
そんな伊東に仲間も信頼を寄せる。DF安在達弥(25)は「47歳になってもプロであり続ける姿を間近で見られるのは幸せ」と敬意を示す。今井雅隆監督(62)も「コーチではない。実際にプレーで見せ、助言できる存在」と評価する。
今季は三浦知良(55)=静岡市出身=がJFL鈴鹿ポイントゲッターズに移籍し、最年長Jリーガーになった。「サッカーは人生であり日常そのもの。(引退は)まったく考えていない」と言い切るレジェンドの物語はまだ終わらない。
いとう・てるよし 静岡市清水区出身。1993年に東海大一高(現東海大翔洋高)からJ1清水に入団し、中盤で活躍。96年アトランタ五輪のブラジル戦で決勝点を挙げ「マイアミの奇跡」を成し遂げた。J2甲府、J3長野、J2秋田を経て2017年からJ3沼津でプレー。19年11月に45歳2カ月24日のJ3最年長出場記録を樹立した。国際Aマッチ通算27試合、J1通算517試合、J2通算25試合、J3通算14試合出場。