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保育と介護現場、感染不安と窮状訴え 静岡県内、「第6波」収束見通せず【新型コロナ】

 静岡県の新型コロナウイルスまん延防止等重点措置が21日まで再延長された。「第6波」の収束が見通せず、飲食店の営業を引き続き制限することで人流抑制を図る。一方、クラスター(感染者集団)は学校・保育施設や高齢者施設で頻発しているが、こうした領域への対策は措置内容に盛り込まれていない。感染予防に苦慮する関係者は行政に効果的な対応を求める。

直近の県内の年齢別感染データ
直近の県内の年齢別感染データ

 「抗原検査キットを自由に使える環境を整備してほしい」
 焼津市のたかくさ保育園長で全国保育士会長の村松幹子さんは日々、感染不安にさらされる現場の窮状を訴えた。
 マスクを着けられない低年齢児を預かる保育施設の感染対策は現場に委ねられているのが実情。重点措置の効果は直接的になく、「実施期間中という感覚はない」。施設はどこも手指衛生や掃除に神経を使いつつ、保育の質の確保も重視している。「国は努力を理解してほしい。せめて(検査キットの確保で)職員の不安を取り除いて」と注文した。
 県内の今月3日まで1週間の年齢別感染データによると、10歳未満の割合は21%。減少傾向から一転、2週連続で増えた。1月8日から3月3日まで学校・保育施設のクラスターは103件で、全体の37%に上る。
 高齢者施設の感染対応も急務となっている。関連のクラスターは86件で学校・保育施設に次いで多い。
 静岡市葵区で特別養護老人ホームやデイサービスを運営する社会福祉法人楽寿会の有馬良建理事長は「感染対策にはかなりの業務負担と心理的負担がある」と指摘。「自主的に事業休止措置を取り、経営面で追い込まれる事業者も出るのではないか」と訴え、財政支援を求めた。
 「園児も高齢者も完全な感染防御は難しい」と語る医療関係者の1人は「適切な医療提供体制を確実に維持するなど、かかった後の対応を重視すべきだ。重点措置はオミクロン株の特性を踏まえておらず、実態に即していない」と強調した。

 ■川勝知事「再延長今回で最後に」
 7日から再延長期間が始まった新型コロナウイルスまん延防止等重点措置について、川勝平太知事は同日の定例記者会見で、21日の期限をもって適用を最後にする考えを明らかにした。
 川勝知事は、飲食店は主な感染源ではないにもかかわらず、制度上、営業時間の短縮を要請しなければならないと指摘。その上で「人流抑制の効果は出ているが、飲食店がこれ以上迷惑を被らないよう、今回をもって最後の適用にしたい」と述べた。
 重点措置解除の基準に関しては、病床使用率が50%を下回り、さらに下降傾向にあることを挙げた。県によると、直近の病床使用率は45・4%。川勝知事は「21日までは感染対策を取り、下降傾向に結び付けられるかを見ていく」と話し、適用期間中に解除する考えはないことを明らかにした。

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