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盛り土、工事未完で売買 百条委で契約仲介者が証言 熱海土石流

 熱海市伊豆山の大規模土石流の起点となった盛り土部分を含む土地について、旧所有者の不動産管理会社(神奈川県小田原市)が熱海市に届け出ていた工事が完了しないまま現所有者が購入していたことが3日、同市議会の調査特別委員会(百条委員会)で明らかになった。参考人として出席した不動産業者の元代表が証言した。

百条委での意見聴取を終えた後、報道陣の取材に応じる参考人(右)=3日午後、熱海市役所
百条委での意見聴取を終えた後、報道陣の取材に応じる参考人(右)=3日午後、熱海市役所

 不動産業者の元代表は、現旧所有者が2011年2月に交わした土地売買契約を仲介した人物。契約に伴う重要事項説明書の作成に当たり、市から「あくまで県土採取等規制条例に基づく届け出の工事の途中」との説明を受けたという。その上で「ひな壇(盛り土)を固めることで工事が完了すると指導された。それを行えば危険性はないと認識していた」と述べた。
 説明書では、旧所有者が土地の引き渡しまでに盛り土を成形して硬化剤で固めることや、工事終了後に遅滞なく完了届を提出することを現所有者と確約することを記載。「市の指導がない限り、私の私見で書けることではない」と述べた。
 旧所有者は当初、約6億5千万円で35万坪(約1・2平方キロメートル)の土地を売ろうと考えていたが、債務返済に追われていたこともあり、工事が完了しないまま現所有者が提示した3億円で売却した。元代表は、現所有者が購入した理由は「分からない」と述べた。
 百条委の稲村千尋委員長は「計画していた盛り土の高さを大幅に上回ったまま、盛り土を固めるだけで工事完了と認めると市が説明していたのであれば、重大な問題」と指摘し、市当局に確認する考えを示した。
 百条委は17、18日にも参考人を招致し、盛り土を造成した工事関係者や起点周辺の開発に関わった設計業者らに事情を聴く。

 ■捜査求め情報提供 15年に不法投棄記事の執筆者
 百条委では、熱海市伊豆山の土地に「産業廃棄物が不法投棄されている」との情報提供を県や県警に2015年に行い、本格捜査などを求めたジャーナリストの原中栄伸さん(東京都)も参考人として証言した。
 原中さんは、大規模土石流の起点となった盛り土部分を含む土地を11年まで所有していた不動産管理会社の代表(71)らが、熱海市日金町の元ホテルの社員寮の解体で生じた廃棄物を伊豆山に不法投棄したなどと報じる記事を15年に執筆。同年4月に県東部健康福祉センターを訪ねたほか、投棄の実行者ら2人とともに熱海署なども訪ね、指示した人物と思われた代表の捜査に乗り出すよう進言した。
 原中さんによると、担当捜査員は「(代表からの)指示書はあるか」などと確認。関係者によると、捜査員は時効成立の可能性もあったため、現地を確認して実行者らへの聴取も慎重に行ったが、最終的に事件化を見送った。投棄の具体的時期などが明確にできなかったためとみられる。
 原中さんは、一連の取材を通じて知った代表の手口を挙げて「最初の許認可申請の段階で『自由同和会』の名刺を出し、後は部下が(交渉に)行き、自分は一切出てこない」と指摘し、「脅すのは申請時。これが圧力になった」と強調した。

 

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