脱炭素のまちづくり 牧之原市、官民挙げエコ活動実践【22年度予算案/志太榛原④】

 2月下旬、多くの買い物客でにぎわう牧之原市のスーパーラック相良店。商品棚に目を向けると「手前から取って食品ロスを減らそう」と記した啓発ポップが掲示してあった。

「手前取り」を呼び掛けるポップが掲げられた商品棚=牧之原市波津のスーパーラック相良店
「手前取り」を呼び掛けるポップが掲げられた商品棚=牧之原市波津のスーパーラック相良店

 牧之原市は今年1月から県と連携し、小売店で商品棚の手前に置かれた賞味・消費期限が迫った食品を選ぶよう呼び掛ける取り組みを市内10店舗で展開している。エコ活動を実践することでポイントを獲得できる地球温暖化対策アプリ「クルポ」と連動する。お得感を味わいながら環境に優しい行動の促進につなげたい考えだ。
 市は昨年、2050年までに二酸化炭素(CO2)の排出量を実質ゼロにすることを目指す「ゼロカーボンシティ」を宣言した。気候変動の深刻さが広く共有され、環境対策の必要性は高まるばかり。杉本基久雄市長は1月の定例記者会見で、今年の一文字に「脱」を掲げるなど、脱炭素のまちづくりに向けた取り組みを官民一体で進めていく決意を示した。
 こうした動きを加速させるため、市は22年度当初予算案に、ゼロカーボンシティ関連予算として2・6億円を計上した。家庭用の創エネ、省エネ、蓄エネ設備の設置支援として最大25万円の補助金を交付する新事業に500万円を投じ、課題である耕作放棄地を活用した脱炭素推進事業に500万円を盛り込んだ。
 さらには相良地区に整備を進める多目的体育館ではエネルギー消費量の75%以上を削減する「Nearly ZEB(ニアリー ゼブ)」の県内初の認証を目指すなど、脱炭素の実現に多角的に挑む。
 市環境課の瀧井円裕課長は「温暖化対策の重要性を広く情報発信し、オール牧之原で取り組んでいきたい」と力を込めた。

〈メモ〉牧之原市は07年に県内の自治体で初となる環境省の「エコアクション21」を取得して以降、環境対策に注力し太陽光やバイオマスといった再生可能エネルギー由来電力の地産地消、4Rの推進などに取り組んでいる。
 同省によると、2月末時点で全国の598の自治体が「ゼロカーボンシティ」を表明している。

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