残った盛り土、撤去命令検討 静岡県、旧土地所有者に
熱海市伊豆山の大規模土石流の起点で崩落して被害を拡大させたとされる盛り土を巡り、静岡県が県議会2月定例会に提出した盛り土規制強化条例が施行された場合、造成した旧土地所有者に対し、崩れずに現地に積まれたまま残っている土の撤去を求める措置命令を出す方向で検討していることが2日、複数の県関係者への取材で分かった。
土石流起点付近で残っている盛り土は約2万立方メートルと推定されている。県は監視体制強化や砂防ダムの土砂除去などの対策が講じられているため「二次災害の発生につながる危険性は低い」としているが、地元の不安を払拭(ふっしょく)するには盛り土が残る箇所のさらなる安全性確保が必要とみている。
新条例施行前に造成された盛り土は原則、新条例の規制対象にならないが、問題になっている盛り土造成工事は「完了」とみなされていないため、適用される可能性がある。県は旧土地所有者が撤去の命令に応じなければ行政代執行も視野に入れるとみられる。
現行の県土採取等規制条例に基づけば、残った盛り土を是正指導する権限は市にある。新たな盛り土規制強化条例が施行される7月以降は、県が一括して盛り土規制を所管することになる。