盛り土規制を閣議決定 無許可造成、罰金3億円 来夏施行目指す
政府は1日、熱海市の土石流被害を踏まえた盛り土規制法案を閣議決定した。都道府県などが指定した区域内の盛り土を許可制にし、全国一律の規制を適用。無許可造成や是正命令違反をした法人に最高3億円の罰金を科すなど厳罰化する。来年夏の施行を目指す。
熱海市では、不適切に造成された盛り土が被害を拡大したとされる。盛り土は場所によって適用される法律が異なり、規制が緩い所で危険な造成が行われるケースが多い。このため、宅地造成等規制法を改称し、農地や森林など土地の用途にかかわらず適用するよう抜本改正した。
都道府県や政令指定都市、中核市は、盛り土の崩壊で住宅に被害が出る可能性がある場所を規制区域に指定。区域内の宅地造成や残土処理は、排水設備の設置といった要件を満たさなければ許可しない。自治体は、工事途中や完了段階で安全性を検査し、問題が見つかれば土地所有者や施工業者らに改善命令を出す。
現行法では、個人、法人問わず「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」にとどまる罰則も改正。個人は「3年以下の懲役または1千万円以下の罰金」に引き上げるとともに、法人には、最高3億円の罰金を科す規定を新設する。
■「喫緊の課題」 国交相
斉藤鉄夫国土交通相は1日の閣議後会見で、政府が閣議決定した盛り土規制法案について「熱海市で発生した土石流災害をはじめ、全国各地で盛り土の崩落による人的、物的被害が確認されている。盛り土による災害の防止は喫緊の課題」と指摘。国民の生命を守る観点から「危険な盛り土を全国一律の基準で、包括的に規制する法制度を整備する」と述べた。