富士山麓から「平和を」 ウクライナの子どもが描いた「キッズゲルニカ」展示 富士宮
ロシアによる侵攻が続くウクライナに向けた連帯を富士山麓から発信しようと、富士宮市の渡辺実さん(65)が28日までに、東日本大震災の復興支援の一環でウクライナの子どもが描いた平和を願う「キッズゲルニカ」の作品を同市上井出の草原に広げた。「あの子たちが爆撃を受けていると思うと、いてもたってもいられなかった」。渡辺さんは現地の友人と連絡を取り続けながら、反戦と無事を願い続けている。
キッズゲルニカはパブロ・ピカソ作「ゲルニカ」と同サイズのキャンバスに子どもたちが平和を描く国際プロジェクト。草原に並べたキッズゲルニカの5作品は、ファッションデザイナーの故・高田賢三さんと渡辺さんらが始めた東日本大震災復興支援活動の一環などで2017年、首都キエフやソ連時代に爆発事故があったチェルノブイリ原発の作業員らが暮らす北部のスラブチチ、東部ドネツク州とルガンスク州の子どもたちが描いた。広島や長崎、福島などで展示した後、渡辺さんが保管していた。
5枚の作品には原発事故があった福島への連帯や、平和に対する思いが描かれている。ドネツク州の子どもたちが世界の各地域を描いた作品には「ウクライナ・イズ・ヨーロッパ」と記されている。渡辺さんは「現地の知り合いのほとんどは逃げていない。人道的問題が起きていて、本当に許せない」と憤る。
今年は日本とウクライナの外交関係樹立30周年。「ウクライナが親日ということもあまり知られていない。日本人にもっと関心を持ってもらいたい」と語る。作品は3月6日まで同市上井出の「ごとう動物病院」隣接地に展示している。