島田市 母子保健・子育て ウェブ活用、支援身近に【22年度予算案/志太榛原①】

 2月下旬、島田市保健福祉センターで行われた予約制の乳幼児相談。5カ月の長女要芽ちゃんをあやしながら助産師や保健師とにこやかに話す北川紗緒さん(37)は、第1子誕生時に続いて同相談を利用した。「家族の支えがあって何とか育児をこなしているが、産後の数カ月は心配事が尽きない。身近に相談する場があるのは本当にありがたい」

乳幼児相談の会場で保健師と会話する母親。子育て支援プラットフォームでは相談、予約などの手続きをウェブサイト上でできるようになる=島田市保健福祉センター
乳幼児相談の会場で保健師と会話する母親。子育て支援プラットフォームでは相談、予約などの手続きをウェブサイト上でできるようになる=島田市保健福祉センター

 市が生まれてくるすべての子どもと家族に担当保健師を付ける「島田市版ネウボラ」を開始し、間もなく3年が経過する。指名の相談が増えるなど成果が現れる一方で、保健師からは「働く母親が多いのに行政手続きは煩雑」「もっと気軽に保健師にアクセスする方法が必要」などの課題が挙がっていた。市からの通知ははがきや封書で、相談や講座の予約は電話が基本。市が子育て世代2254人に行ったアンケートでは、健診や予防接種、児童手当など子どもに関わる大半の手続きについて、8~9割が「デジタルで利用したい」と回答した。
 こうした課題の解決に向け、市は3月から母子保健サービスの通知や申請、相談予約などをウェブ上で行う子育て支援プラットフォームの運用を開始する。まずは0~2歳児向けの手続きが対象で、2022年度当初予算案には子育て支援の幅広い機能を追加する費用として1800万円を計上した。
 市のデータとひも付けすることで健診結果や予防接種履歴を閲覧でき、成長記録としても利用できるのが特徴。担当保健師とチャット方式のメッセージ送受信も可能になる。
 市健康づくり課の保健師増田礼子さんは「利便性の向上に加え、事務作業の効率化で保健師が市民一人一人と向き合う時間を増やせる」と期待を寄せる。システム構築を手掛けるDX推進課の担当者は「将来的には教育分野にも広げたい。サイトは部署の垣根を超えて子どもの情報を共有するための第一歩になる」と見据える。
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 志太榛原地域の2022年度当初予算案が出そろった。新型コロナがもたらした社会の変化や新しい価値観を捉え、まちづくりに生かす市町の取り組みを追った。

 <メモ>子育て支援プラットフォームの利用登録には本人確認が必要で、マイナンバーがあればウェブ上で手続きが完結する。市はサイトのPRと並行してマイナンバーカードの取得率アップも図る方針。島田市版ネウボラでは母子手帳交付の予約制導入や父親へのアプローチ強化などを進め、担当保健師と顔の見える関係構築を目指す。

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