箱根西麓地域で露地野菜生産/宮沢竜司さん(三島市)【自然の仕事人】

 三島市の箱根西麓地域で露地野菜を生産する宮沢竜司さん(36)を訪ねた。

収穫したニンジンの調整作業を行う宮沢竜司さん
収穫したニンジンの調整作業を行う宮沢竜司さん

 宮沢さんは大学卒業後、一度はバイクの販売・メンテナンスの道に進んだが、事故によるけがをきっかけに帰郷した。実家に就農し、現在就農10年目を迎えている。2019年に祖父から経営を引き継いだ。
 「夏は暑いし、冬は寒いし、堆肥は臭い。不満だらけですぐにでもやめるつもりだった」と就農当初を振り返る。そんな宮沢さんの農業に対する意識を変えたのは、JA青壮年部での同世代の仲間との出会いだった。「彼らは自由に、楽しそうに仕事に取り組み、また農業という仕事に自信を持っていた」。何度か交流を続けるうちに、いつの間にか農業に対する後ろ向きな気持ちはなくなっていた。現在、その仲間たちと「箱根西麓のうみんず」という若手農業者組織を結成し、地元農産物のPRやブランド化に積極的に取り組んでいる。
 宮沢さんはダイコンやニンジン、バレイショ等の根菜類を中心に多品目を栽培し、「消費者には安全・安心で、見た目も味も完璧な農産物を届けたい」とのポリシーを掲げる。県からエコファーマーの認定を受け、緑肥等を活用した環境負荷の少ない農業を実践する。さらに畑の小石の除去や手作業での収穫により、手間を掛けてでも傷や形崩れによるロスを減らし、高品質な農産物を多くの消費者に届けている。
 今後の目標について聞くと、「稼げる農業の手本を示し、次の若い世代へつなげること」と話してくれた。「箱根西麓三島野菜をはじめ、県内にはおいしい野菜がたくさんある。コロナ禍で外出の減るこの機会に、ぜひ地元の野菜に目を向けて、味わってもらえるとうれしい」と語る宮沢さんの今後の活躍が楽しみだ。(青年農業士会東部支部)

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