桜ケ丘病院 津波に備えかさ上げ、広々と機能的に 2023年度移転「JCHO清水さくら病院」に改称

 老朽化などを受けてJR清水駅東口公園への移転新築が決まった静岡市清水区の独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)桜ケ丘病院は2023年度、開放的な病院に生まれ変わる。患者がベッドで院内を移動できない手狭さが解消され、診察や検査は同フロアで完結するなど効率性を高めた。懸念される津波被害に備えて建物を柱で持ち上げ、入院フロアを5階以上にするなどの対策を施す。

新JCHO桜ケ丘病院のイメージ図(JCHO提供)
新JCHO桜ケ丘病院のイメージ図(JCHO提供)

 同病院によると、清水区桜が丘町から同区袖師町への移転に伴い病院名は「JCHO清水さくら病院」に改称する。森典子特任院長補佐は「地域のニーズをくみながら、より良い医療を提供したい」と強調する。
 約4900平方メートルの敷地に建設する新病院は鉄骨造7階建て。1階は駐車場、2階は救急と外来、3階は健康管理センターやリハビリテーション室、多目的ホールを整備した。4階が手術室、5~7階は病室。院内からは富士山を眺望できる。病床数は現病院の稼働数と同程度の159床。清水区内の約7割を担う内科系救急医療を最優先に、整形外科や歯科口腔(こうくう)外科など8診療科を継続する。
 移転地は、津波で最大2・66メートルの浸水が想定される。建物を5・9メートルかさ上げして2階への浸水を防ぎ、漂流物をせき止める擁壁を設置する。救急車の出入り口は2階に設け、陸上交通の寸断に備えて医薬品の搬入や人の搬送ができるようにヘリコプターのホバリングスペースを整える。災害時は多目的ホールやリハビリテーション室を住民や帰宅困難者に一時避難所として開放する。
 開院から60年以上が経過する現病院は耐震性が低く、大雨の際は雨漏りが生じるなど老朽化が深刻。救急患者が検査室へ向かう際、外来患者との接触を避けるために院外を回るなど、療養環境の早急な改善が必要になっている。
 現病院がある岡地区連合自治会の小林靖明会長は「高齢化が進む中、地域にとって病院の存在は欠かせない。計画する津波対策を図り、一日も早く新築してほしい」と望む。
 静岡市清水医師会の望月篤会長は、医師確保が進むことを期待した上で、「清水港に近くなるため、防疫対応の最前線になってもらいたい」と求めた。
 
 ■「移転経緯 説明を」 市民団体、市へ訴え続く
 独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)桜ケ丘病院の移転を巡っては、市民団体などが津波浸水想定区域に病院を建設すべきではないとして反対していた。田辺信宏市長や市議会が移転を認めたことを踏まえ、清水まちづくり市民の会は「不本意だが移転は否定できない」として、現在は市に対して移転経緯の説明やパブリックコメント(意見公募)などを求めている。
 同会事務局の神戸孝夫さんは「市政の進め方そのものをただしたい。今回の問題に限らず、今のやり方はまちづくりにとって好ましくない」と思いを語る。
 昨年10~11月に同病院が開いた住民説明会では、移転経緯に関する質問が相次いだ。同会は市やJCHOに対して情報公開請求を続け、移転に関する資料を集めてきた。市には移転経緯の質問を投げているが「変化球ばかりでストレートな回答がない」という。
 
 <メモ>静岡市清水区の桜ケ丘病院は1959年に開院した。当時の運営主体だった旧社会保険庁が2001年、同区大内新田に移転先の用地を取得したが、新たな運営主体となった独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)は治水対策の費用や患者の利便性などの観点から移転先の再検討を決めた。市役所清水庁舎跡地への移転が一時固まったが、市は新型コロナウイルス感染症への対応などを理由に同庁舎の移転を凍結。JCHOに新たな移転候補地の一つとしてJR清水駅東口公園を提案していた。
 

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