リニア 2027年開業困難「責任感じる」 JR東海社長

 リニア中央新幹線工事に伴う大井川の水問題を巡り、JR東海の金子慎社長は17日、東京都内で開いた記者会見で、東京・品川―名古屋間の2027年開業が困難となっている現状に関し「計画通り進められていないことに責任を感じる」と述べた。流域に対しても水問題の懸念を拭えない状況が続き「申し訳ない気持ち」とした。

記者会見するJR東海の金子慎社長=17日午後、東京都千代田区
記者会見するJR東海の金子慎社長=17日午後、東京都千代田区

 一方、県の有識者会議専門部会や国土交通省の専門家会議などを通じて議論を深めてきた経緯を振り返り「県も国も参画して取り組んできた。誰が悪いのかという議論は適当ではない」とも語った。
 国交省の専門家会議がまとめた中間報告を受け、県は「現状では工事を認めることのできる状況ではない」との見解をJR側に伝えている。金子氏は県内区間着工の前提となる地域の理解と協力を得る見通しについて「どれくらいの時間がいるか、今の時点では申し上げられない」と述べるにとどめた。

 ■一問一答/部分開業「難しいと思う」
 17日に行われたJR東海金子慎社長の定例記者会見での主なやりとりは次の通り。
 ―1月放送の民放番組で、リニア中央新幹線静岡工区の未着工を理由に、2027年の完成予定が「延びることになる」と明言した。開業はいつか。
 「これから地域の理解と協力をいただき、懸念を払拭(ふっしょく)するために取り組まないといけない。どれくらいの時間がいるか、今の時点では言えない。静岡工区の着手も、全体の工事の完成時期も言えない」
 ―開業時期の見通しが立たない中、品川―甲府間の先行開業は考えられるか。
 「部分開業は東海道新幹線のバイパスという本来の目的が果たされず、難しいと思う。東京から名古屋まで、いろいろな設備を一つのセットとして効率的に計画している。部分開業は追加の整備もいるので難しい」
 ―27年開業が難しくなった責任の所在は。
 「事業者として、計画通り進められていない責任を感じている。計画に起因して大井川流域に心配をかけて申し訳ない気持ちで、懸念を払拭しないといけない。ただ、事柄が重要であるがゆえに、県にも国にも参画いただいた経緯としてこうなっている。誰が悪いのかという議論は適当ではない」

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