御前崎市22年度予算案 人口増、デジタル化推進 一般会計158億円
御前崎市は15日、2022年度当初予算案を発表した。一般会計は21年度当初比2・9%増の158億6千万円。新型コロナウイルス禍の収束後を見据え、交流人口の増加やデジタル化推進などを重点施策として新規事業を盛り込んだ。
民間事業者から「観光プロデューサー」を人材登用して観光戦略の策定などに取り組み、仕事をしながら余暇も楽しむ働き方「ワーケーション」の誘致を加速させる。マイナンバーカードを使った電子申請サービスの利用促進キャンペーンを新たに実施する。災害時の1次避難所になる公民館や集会所の改修費補助金を新設し、防災面の充実を図る。
歳入の柱の市税は2・3%減の69億800万円。市民税は人口減少とコロナ禍による経済への影響を考慮し、1・7%減の20億2100万円とした。繰入金は8・6%増。このうち市の貯金に相当する財政調整基金からは、21年度当初より1億9500万円多い6億円を取り崩す。国庫支出金は原子力関連の交付金(13億9400万円)を含め29億4800万円。
中部電力浜岡原発の立地に伴う歳入(交付金や固定資産税など)は42億300万円で、一般会計の26・51%(21年度当初比1・35ポイント下降)を占める。
■記者の目/求められる持続可能性
浜岡原発が立地する御前崎市の歳入の特徴は、固定資産税の割合が突出している点にある。22年度当初予算案では歳入の28・6%、市税の65・7%を占める。景気の波の影響を受けにくい半面、家屋や施設の新増設がない限り増収はない。原発の再稼働は見通しが立たず、人口は急速に減少している。予算資料にうたった「恒久的な歳出の削減や新たな歳入確保策」は急務だ。
一方で投資的経費は21年度当初比で8・3%(1億7千万円)増加した。柳沢重夫市長は「国の補助金を使う工事が増えた」と説明したが、昨年の12月議会では「市内の公共事業費を少しでも回復させ、建設業界の活性化を推進する」とも述べている。緊縮はせず、貯金を崩して借金をしてでも事業を維持する方針に危うさはないか。持続可能な財政運営へ検証も続けてほしい。