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特集 : 熱海土石流災害

熱海市 議事録を一部未作成 土石流本部、発生から13回分

 熱海市伊豆山で昨年7月に起きた大規模土石流で、市が発生当日から全49回開いた災害対策本部会議のうち、1~13回の議事録が作成されていないことが9日までの市への取材で分かった。議事録は意思決定の経緯の確認や、行政対応の妥当性を検証する上で重要な資料になる。専門家は「災害時は刻一刻と状況が変化する。随時記録を残さなければ情報共有や判断のミスにつながりかねない」と指摘し、他市町でも起こり得ると警鐘を鳴らす。
 議事録がないのは発生当日の7月3日から同7日までの分。会議には本部長の斉藤栄市長をはじめ市の幹部、県警、自衛隊、市消防本部といった関係機関の職員が出席し、非公開で救助活動や避難者対応に関する情報共有や意思決定を行った。
 市は発生当初、全庁体制で災害対応に当たっていた。市危機管理課の轡田敏秀課長は「現場が混乱して会議の議事録を残す考えに至らなかった」と説明。防災訓練では本部会議の記録を残す係を決めているが「訓練通り実践できなかった」と話した。14回目以降の議事録は災害対応の支援に入った県東部地域局が出席者の発言要旨を文書に残した。
 災害対策本部会議の議事録は、2011年の東日本大震災でも多くの被災自治体で作成されなかった。行政対応を検証する際、当時の職員の証言などを集めるために膨大な時間と労力が費やされた。
 元県危機管理監で静岡大防災総合センターの岩田孝仁特任教授は「行政は災害対応の記録を取ることを重要な職務と認識すべき」と強調。今後想定される大規模災害を見据え「災害時の組織体制が機能するように人員配置などを見直し、いかに本番を想定した訓練ができるかが大事」と指摘した。

 <メモ>災害対策本部 地方自治体が定める地域防災計画に基づき、災害の発生または発生のおそれがある場合、知事または市区町村の首長を本部長として設置する災害対応の最高意思決定機関。設置に伴い、行政組織は災害対応体制に切り替わる。災害対策本部会議では避難の指示勧告、応援要請といった重要事項の決定や関係機関との活動調整、住民への広報などを行う。

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