銭湯「巴湯」75年の歴史に幕 浜松市民安らぎの場、26日最後

 戦後間もない時期から浜松市民に安らぎの場として親しまれてきた街中の銭湯「巴湯」(中区大工町)が26日を最後に75年の歴史に幕を下ろす。平成以降は利用客が減り、設備の老朽化も進んだため、閉店を決めた。県公衆浴場業生活衛生同業組合に加入する銭湯は市内では1カ所のみになる。常連客からは名残を惜しむ声が上がっている。

番台を務める市川佳代子さん=浜松市中区大工町の巴湯
番台を務める市川佳代子さん=浜松市中区大工町の巴湯

 店主の市川佳代子さん(71)によると、夫の敏さん(74)の両親が1947年に街中心部の現在の場所で営業を始めた。風呂の無い家が珍しくなかった時代は、利用客が開店前から洗面器を片手に列をつくった。入浴後は、家庭にまだ十分に普及していなかった白黒テレビを脱衣所で囲み、プロレスを観戦していたという。千歳町など繁華街に近く、夕方からの営業の前に利用する飲食店関係者も多かった。
 生活様式の変化で、かつてのにぎわいは去ったが、根強い風呂好きのために営業を続けてきた。週1回は足を運ぶという村松俊介さん(81)=同区=は「家の風呂と違い、足を伸ばしてゆっくりつかるのが楽しみだった。無くなるのは寂しい」と惜しむ。
 佳代子さんは結婚を機に巴湯の番台を40年以上務めてきた。「夏はさっぱり、冬はほっこりと、風呂から上がって帰る時のお客の表情が好き。良い商売をさせてもらった」と振り返った。
 佳代子さんは脱衣所に置きっ放しになっている洗面器の回収を利用客に呼び掛けている。入浴券の返金も受け付けている。問い合わせは巴湯<電053(452)7571>へ。

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