海洋由来微生物で商品開発、うま味プラス 静岡県水産・海洋技術研

 静岡県が2020年から取り組む、海洋由来の微生物を使った加工食品開発が本格化している。水産物から選抜した乳酸菌や酵母などを活用し、うま味成分増加や食中毒防止につなげている。各地の特産物を生かした加工品づくりを通して、地域振興を図る。

海洋由来の乳酸菌を使ったサバラーメン
海洋由来の乳酸菌を使ったサバラーメン

 本県の豊富な海洋資源を活用して産業創出を目指す事業の一環。県水産・海洋技術研究所(焼津市)が、20年に開所した海洋研究の拠点MaOI-PARC(マオイパーク、静岡市清水区)などと連携して取り組む。
 同研究所は20年に食品開発の核となる微生物確保に向け、駿河湾沖合の海水を採取した。シラスやカツオ、アカモクなどの水産物、焼津沖の海洋深層水の分析も進め、食品開発に役立つ乳酸菌や酵母を選抜した。
 水産加工会社の岩清(焼津市)と連携し、カツオ由来の乳酸菌を使って誕生したのが「サバラーメン」だ。廃棄されることが多いサバの内臓などを加熱処理してエキスを出し、そこに乳酸菌を加えることでうま味成分を増加させ、食中毒の原因となるヒスタミン発生の抑制につなげた。スープの独自性をPRし、米国や欧州などでテスト販売を進めた。
 県は技術を応用してアジのエキスを原料とするラーメンを開発したほか、塩の代わりに乳酸菌を使うカツオの塩辛づくりも進めている。シラスエキスを活用したビールや青のり由来の乳酸菌による漬物、海水から得る酵母を使った日本酒づくりなども検討していく。
 県水産・海洋技術研究所開発加工科の小泉鏡子科長は「民間のアイデアの具体化を後押しすることで、地域おこしにつなげていきたい」と話す。

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