増す透明感 SPAC舞台「夜叉ケ池」 布施、5度目の百合役

 静岡県舞台芸術センター(SPAC)が竜神伝説を題材にした舞台「夜叉ケ池」を上演している。泉鏡花の戯曲を宮城聰芸術総監督が演出。現代にも通じる他者の排除や自然へのおごりを痛烈に批判している。

「子どもの頃、妖怪が出てくる本は布団に潜って懐中電灯で読んでいた。より怖くする演出です」と話す布施安寿香=静岡市駿河区の静岡芸術劇場
「子どもの頃、妖怪が出てくる本は布団に潜って懐中電灯で読んでいた。より怖くする演出です」と話す布施安寿香=静岡市駿河区の静岡芸術劇場

 水をつかさどる竜神が閉じ込められた深い山里の夜叉ケ池。各地の民話や伝説について研究していた晃は、竜神が池を出ないように毎日鐘を鳴らす。忘れたら洪水に見舞われるという伝説を信じない村人たちは、晃の妻で村一番の美女百合を雨乞いのいけにえにしようとする。一方、池では竜神「白雪姫」が池の外にいる若君に会いたいと思いを募らせて-。
 2008年に初演し、今回は7年ぶり5度目。百合を演じてきた布施安寿香は「百合を表現する視点、宮城監督が求めるもの、そして自分自身ができることはどれも増えたはず」とはまり役を掘り下げる。
 寝床に白蛇がいるとうわさされる百合は、孤独を深め消え入りそうな透明感で存在する。「晃と過ごす姿は異種婚姻譚にも見える。貧しくても豊かに、そして人間と異界の境界にいる謎めいた人間」と捉える。
 暴力や迫害が人間の世界を覆う一方で、池の妖怪たちには親しみが湧く。「効率やスピードが求められる時代、人間をじっくり見て、異質のものを目撃する体験を楽しんでほしい。中高生や初めて演劇を見る人にもお薦め」
 一般公演は6、12、13、19、23日と3月5日、静岡市駿河区の静岡芸術劇場で。問い合わせはSPACチケットセンター<電054(202)3399>へ。

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