大井川リニア水問題 JRは、国は、地元は...提言まとめ JR/情報開示が信頼得る道 国/環境意識し対応柔軟に

 静岡新聞社は、2020年9月からの長期連載「大井川とリニア」と日々の報道を通じJR東海によるリニア中央新幹線南アルプストンネル工事に伴う大井川の水問題を詳報してきた。国土交通省の専門家会議が中間報告を公表し、流域の水問題への対応は大きな節目を迎えた。今後の議論が水資源維持の具体的対策や生物多様性に移るのを機に事業者のJR東海、ルート選定や事業認可に関わった国、JR東海と協議する県と市町、水の恩恵を受ける地元に焦点を当て提言をまとめた。

大井川とリニア 提言骨子
大井川とリニア 提言骨子

 トンネル工事に着手し、南アルプスの地下に巨大構造物を建設すれば、それが地域の水環境に及ぼす影響の回避に未来永劫(えいごう)、責任を負うのはJR東海だ。
 ゆえに国や県が、地域の承認を事業の前提にするのは必然で、それは地域社会がどれだけJR東海を信頼できるかにかかっている。「トンネル湧水の全量戻し」の具体策の提示は地域の一員としての自覚を表明することであると理解すべきだ。
 改めて、ルート選定や工事の影響予測に使った地質調査データ、環境影響評価(アセス)の関連資料を含めた対策の根拠などの情報は、前提条件なしに全面開示する必要がある。100年単位で想定されるリスクを明示し、対応策を明確に語るべきだ。
 環境への国民の意識の高まりは、リニアの構想当時とは比べものにならない。生活生業の安全安心のために、省庁は総力を挙げて取り組むべきだ。環境アセスの制度も改善の余地がある。大型インフラ事業であっても、事業計画ありきの硬直化した行政と決別し、時代の変化に対応するべきで、国はJR東海への指導を継続する責務を負っている。
 大井川の恩恵を受ける自治体や地域住民も環境保護について意識をさらに高めたい。
 県や市町は環境と生活生業を守り、暮らしを豊かにしていく役割を担う。問題の現場に入り、住民の声に耳を傾け、国政を突き動かす姿勢を求めたい。水は生命の源だ。私たち一人一人がリニア事業の問題をきっかけに、南アルプスの自然や大井川の水の流れに関心を高め、環境を自分たちで守ることの意義を再確認したい。
 (大井川とリニア取材班)

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