沼津市 2022年度予算案、最大規模に 普通建設事業費が増
沼津市が1日発表した2022年度一般会計当初予算案は、過去最大規模の前年度当初比10・0%増の781億8千万円となった。新総合体育館建設(香陵公園周辺整備事業)やJR沼津駅周辺総合整備事業など普通建設事業費が大幅に伸びたのが主因。記者会見で頼重秀一市長は「ビッグプロジェクトが始動する。市民が前進を実感できる編成にした」と強調した。
歳入の主軸の市税は6・0%増の337億円を見込む。このうち、市民税は雇用環境の改善や企業収益の増加で4・1%増の131億1千万円、固定資産税は7・8%増の186億3400万円など。「歳入に寄与している」(岩瀬宗一財務部長)とするふるさと納税は依然好調に推移し、寄付金は106・8%増の7億5千万円。繰入金は16・0%増の14億1千万円とした。大型事業を控えるため、市債は109・3%増の105億7千万円と急伸する。
歳出は土木費の伸びが顕著。新総合体育館建設に加え、静岡東部拠点土地区画整理事業費などで64・4%増の168億9千万円を見込む。民生費は1・9%増の290億1千万円、教育費は戸田松城邸保存修復などが完了し3・7%減の60億9千万円とした。
特別会計(4事業)は2・4%増の417億3800万円、企業会計(3事業)は前年度当初とほぼ同額の292億6500万円。
■「次のステップは今」 市長、積極型編成説明
「次のステップに踏み出すのは今」。1日、2022年度当初予算案の発表記者会見に臨んだ沼津市の頼重秀一市長は過去最大となった一般会計予算案について、大型事業が本格化する同年度を地域活性化への好機ととらえ、積極型編成に踏み切ったと明らかにした。
「果敢に挑戦するための予算」。頼重市長は予算案編成の基本姿勢を示し、市民生活重視▽スポーツと観光振興▽産業活性化▽災害対策―の4本柱を挙げた。各事業は4本柱を念頭にまとめたと強調。23年に迎える市制100周年への準備も加速させるほか、力を入れているサイクルツーリズム事業では富士市との連携イベントを開く考えも述べた。
頼重市長は18年の就任以降の取り組みを振り返り、「4年間、一つ一つの壁を乗り越えてきた。物事はタイミングが大事。それ(次のステップ)が今と判断した」と重ねた。
■記者の目 発信力強化は不可欠 沼津
「『動き出す 創り出す』を実感できるまちづくり」。沼津市が掲げた2022年度当初予算案におけるキャッチフレーズだ。駅周辺など「沼津の顔」の変化に向け本格始動することを、市民に感じてもらう予算案にしたとの自信の表れと言える。4月に選挙を控える頼重秀一市長としても、今後に対する期待値を上げたいところだ。
ここで不可欠なのは市の発信力強化だ。いくら意気込んでも市民に中身を知ってもらわないと意味がない。市を挙げて、事業が始動することで市民一人一人は何を享受することになるのか、伝える必要がある。