外交官の思い出の風景 静岡市出身の小川さん、スケッチ集出版 「世界知るきっかけに」

 外交官として世界各国を渡り歩いた静岡市出身の小川郷太郎さん(78)がこのほど、国内外で書きためたスケッチ集「外交官が描いた世界の風景」を出版した。世界平和の実現には友好協力関係の増進が大切だとの持論から「世界の事を知り、行ってみたいと思うきっかけにしてもらえたら」と思いを込めた。

出版したスケッチ集を手に外交官時代の思い出を語る小川郷太郎さん=1月下旬、東京都内
出版したスケッチ集を手に外交官時代の思い出を語る小川郷太郎さん=1月下旬、東京都内

 小川さんは1968年に外務省入省。初めて赴任したフランスを皮切りに、2007年の退官までにカンボジアやデンマークなどの大使も務めた。現在はアジア人留学生を支援する国際組織の理事や全日本柔道連盟の国際渉外担当特別顧問として活躍している。
 スケッチ集には、心引かれた街並みや風景とともに、当時の思い出も添えた。旧ソ連末期の1988年に描いた「クレムリン遠望」は思い出深い作品の一つ。当時のソ連は監視や検閲が日常的で、日本から届いた雑誌に別の国の大使宛ての手紙が紛れていたこともあった。権力の象徴とも言えるクレムリンの中で「何をたくらんでいるのか」と思う一方、美しく輝く姿に魅了された心境をつづった。
 小川さんが外交官を目指した原点は、静岡高時代の米国留学。滞在先で広島、長崎への原爆投下に対する考え方の違いを知り「誤解があるから紛争や戦争が起きる。外交の力でなくしたい」と思ったからだ。「反日感情がある国でも、現地に行くと全然違う。良い人はどこの国にもいる」と小川さん。多くの日本人が海外に行き、現地の人と触れ合うことを望んでいる。

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