定数議論大詰め 静岡県議会、人口減も削減見送りか

 静岡県議会が2023年春の県議選に向けて検討している定数と選挙区割りの議論が、大詰めを迎えている。選挙応援での川勝平太知事の発言を巡り、昨年12月に可決された知事辞職勧告決議では、議長を除く66人(定数68、欠員1)中47人の県議が賛成票を投じ、法的拘束力のある不信任決議の可決要件である出席議員の4分の3にあと4人のところまで迫った。県議の「数」に対する県民の関心がこれまで以上に高まる中、定数を巡る県議会の判断の行方に注目が集まる。

県議会議員の定数の推移
県議会議員の定数の推移
県議会議員の定数の推移


 ■国勢調査の結果では定数1減と試算
 「人口減少だけで定数を考えることに抵抗がある」。昨年12月21日に開かれた第9回県議会選挙区等調査検討委員会の席上、県議会最大会派の自民改革会議に所属する委員は、定数削減の流れに待ったを掛けた。検討委開催の直前に発表された国勢調査の県人口は363万3202人で、5年前の前回調査より6万7103人減少した。この減少数は県議1人当たりの人口5万3429人を上回り、数字上は定数を1減できる結果となった。
 しかし、この日の検討委では、自民と公明党県議団が浜松市の行政区再編が正式決定してないことを理由に早期の定数削減に否定的な見解を示し、1減を主張した第2会派のふじのくに県民クラブと意見が分かれた。

 ■定数を減らすと浜松市天竜区は合区に
 自公が定数削減に消極的な背景には、浜松市天竜区の合区問題がある。定数を1減の67にすると、天竜区の人口は議員1人当たり人口の半数以下になり、強制合区の対象になる。天竜区単独の県議がいなくなることになり、過疎化が進む地域の声をすくい上げることが困難になるとの声は県議会に根強い。
 現在、国政でも衆院選の区割り見直しが議論されている。県議会と同様、国勢調査の人口を基に東京を5増にするなど都市部の定数を増やし、人口減少が進む地方の定数を減らす「10増10減」案が有力だ。これに対し、細田博之衆院議長が「地方の政治家を減らし、東京や神奈川を増やすだけが能ではない」と発言して物議を醸したが、県議会での議論と根っこは通じる。

 ■政令指定都市の定数削減は進まず
 一方で、天竜区の選挙区割り見直しは政令指定都市の議員定数の問題もはらむ。県から権限が移譲されている政令市は他市町に比べ県議の役割が限定的で、選挙のたびに定数削減が議論されてきた。前回は浜松市の行政区再編が決着していないことを理由に見送られ、今回も同じ理由で各会派とも消極的。人口が多い政令市の議員を減らすには、県内全体の選挙区を再編する必要があるが、そこまで議論が進む気配はない。
 県内政治に詳しい静岡大の井柳美紀教授(政治学)は「憲法の定める『法の下の平等』という観点からして、基本的には1票の重みは平等であるべきもの」と前置きしつつ「過疎地であっても地域特有の課題を県政に生かすために代表を送り出すことは重要」と、地域事情を考慮した選挙制度の法改正の必要性を指摘した。

 ◆07年74→現在68→? 2月答申へ
 静岡県の人口減少に合わせ、県議会は定数を削減してきた。2007年の選挙で4減の74とし、11年には5減の69、15年は増減なく、19年の前回選は1減の68となった。
 昨年11月末に公表された国勢調査に基づく議員1人当たりの県人口は5万3429人。近隣の神奈川県(8万7839人)、愛知県(7万3648人)よりは少ないが、山梨県(2万1749人)や長野県(3万5403人)よりは多い。他県との比較では現在の定数が多いとも少ないとも言えない。
 定数と選挙区割りを議論する県議会選挙区等調査検討委員会は、会派所属の県議のみで構成し、00年6月から議論してきた。2月定例会中に答申案を決め、宮沢正美議長に答申する方針。

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