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特集 : 大自在

大自在(1月25日)10度目の正直

 “候補止まり”が過去2回。まさに「三度目の正直」だった。第166回直木賞の今村翔吾さん。ビッグタイトルをもたらした「塞王[さいおう]の楯[たて]」は、織田朝倉の戦いで幕が開く。
 今川氏真を主人公にした「蹴れ、彦五郎」は2016年、伊豆文学賞最優秀賞に選ばれた。6年を隔てた二つの作品でほぼ同じ時代を描く一方、その書き手自身はすさまじいスピードで前進した。受賞会見で口にした「素晴らしい賞だが、明日になったらもう過去」は、自らに多作を課すこの作家の矜持[きょうじ]だ。
 「選考前夜にメールで今村さんを激励したら、返信が来た」と話すのは、江戸火消しを描いた人気シリーズ「羽州ぼろ鳶[とび]組」の装画を手掛ける日本画家北村さゆりさん(藤枝市出身)。「翌日を特段意識せず、原稿を書いている様子だった」。淡々と机に向かう姿が浮かび、受賞の予感が確信に変わったという。
 この人は今、淡々としていられるか。米大リーグ最多762本塁打のバリー・ボンズ氏。日本時間の明日、米国野球殿堂入り選手が決まる。
 有資格10年目のボンズ氏は、今回が選出のラストチャンス。日本のファンも多い最強打者だが、現役時代の薬物使用疑惑がつきまとう。過去9年、全米野球記者協会の投票で規定の得票に達しなかった。
 英語にも「三度目の正直」がある。「サード・タイム・イズ・ザ・チャーム」。日本語と同じ発想なのが興味深い。さて、ボンズ氏。記者協会の中には「そろそろ」の声もあると聞く。「テンス・タイム(10度目)・イズ・ザ・チャーム」。かなうか、否か。

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