「コロナ共生」シナリオを予想 浜松の矢野邦夫医師が書籍出版
浜松医療センター感染症管理特別顧問の矢野邦夫医師(66)が新型コロナウイルス感染症の最新の知見を盛り込んだ書籍「ねころんで読める ウィズコロナ時代の感染対策」(メディカ出版刊)が20日、発売される。新型コロナとの共生時代が続く今後、予想されるシナリオなどを紹介している。

医療従事者向けの感染症対策の入門書として執筆したが、「一般市民にも分かりやすいよう漫画や例え話を多用した」と説明する。マスク着用やアクリル板使用、PCR検査、緊急事態宣言などのコロナ対策を何十年も継続するのは社会的損失が大きいとし「大きく膨らんだ感染対策を縮小・中止していく出口戦略が必要」と指摘。そのために重症者や死亡者を減らす必要があるとした。
矢野医師は今後想定されるシナリオとして①ワクチン接種のさらなる進行②抗コロナウイルス薬(内服薬)の普及③軽症で感染力の強い変異株の拡大―の三つを挙げ、重症者や死亡者の割合を低下させることで新型コロナを通常の感染症にしていく必要があるとした。矢野医師は「オミクロン株が3番目のシナリオになってくれればと期待している」と話す。
新型コロナの経口薬の説明では、遺伝情報を担うRNA(リボ核酸)を正しく複製できなくすることでウイルスの増殖を抑える仕組みなどを分かりやすく紹介している。A5判、136ページ。2200円(税込み)。インターネット通販のアマゾンなどで購入可。