静岡人インタビュー「この人」 二宮奈緒子さん(静岡市駿河区) 静岡市内を拠点にアート活動を行う
特別支援学校、支援学級に通う子どもや卒業生が描いた絵や文字をデザイン化し、雑貨として発表している。グラフィックデザイナー。53歳。

―活動のきっかけは。
「発達障害のある長男の周りには文字を書くことが好きな子、絵を描くことが得意な子がいる。8年前、皿やTシャツにしてみたら面白くて作品展を開いた。商品化の声を掛けられ、雑貨として販売を始めた」
―自身の長男が発する言葉を集めたカレンダーや箱の作品もユニーク。
「主治医に『記録したら』と言われたのが始まり。『ぎこちいい』『まとまりきらないほど人生はいい』など、日本語としては間違っているのに、じんわり伝わってくる。けんかの最中の言葉は特に秀逸で、メモが忙しい。箱の表面に印字して展覧会で飾ると、クスッと笑ってもらえる」
―心掛けていることは。
「普通や平均という枠にとらわれない彼らの表現にわくわくする。作為的でない緩い線やイラストは、小さなかけらも拾いたい。日常使いの雑貨に仕上げていく。布バッグやコップ、包装紙など幅が広がってきた」
―今後の目標は。
「イラストも言葉も生き方も、計算通りにいかないことがしばしば。うっかりできたら、面白い。その過程を楽しみながら、皆で作品づくりを進めたい」
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お笑い、コントが好き。