外国人定住、金融分野から支援 スルガ銀行、提携企業と環境整備

 在日外国人の生活や就労を支援する「KUROFUNE」(名古屋市、倉片稜社長)と昨年11月に業務提携したスルガ銀行は、在日外国人向けの金融サービスの導入を加速させる。嵯峨行介社長は12日までの取材に「今年中の遅くない時期に新商品の取り扱いを始める」と明らかにした。提携から短期間で計画を具現化する背景には、国内の少子化で在日外国人を貴重な担い手とする企業は増加傾向にあり、生活基盤の安定と取引先の支援は急務との判断がある。

在日外国人就業者支援協会=KUROFUNE運営=のサービス概要
在日外国人就業者支援協会=KUROFUNE運営=のサービス概要


 他社が取り扱っていない融資に対応する方向で調整していて、まずは小口ローンを軸に始める。このほか、キャッシュレス決済にチャージすると特典として現金がもらえる普通預金口座「スマ口座」(昨年10月に取り扱い開始)の外国人対応も手掛ける予定。昨年12月に同社との業務提携第1弾として行ったビジネスマッチング契約を受け、同社の生活支援サービスを取引先に紹介し始めた。取引先は福利厚生サービスの充実により、効果的な外国人の採用につなげることが可能となる。

 ■「金融包摂」
 スルガ銀とKUROFUNEは昨年11月、誰もが平等に金融サービスを受けられるようにと世界銀行が提唱する取り組み「金融包摂(ファイナンシャル・インクルージョン=FI)」の実現に向け提携を交わした。スルガ銀から金融包摂への姿勢を示し、賛同を得た。同社は一般社団法人在日外国人就業者支援協会を運営して外国人材紹介や生活支援を手掛けるなど、情報やノウハウを有していることが提携の決め手となった。
 スルガ銀は提携に先立ち、東京・日本橋本部にFI推進室を新設し、商品企画に着手していた。取引先や在日外国人を支援する関係団体から、生活や就労などに不安を訴える声が寄せられ始めていたという。特に融資については、国内金融機関のほとんどが永住権を持つ在日外国人を対象にしており、満足なサービスを受けられない人たちへの提供は不可欠ととらえた。

 ■世界的潮流
 KUROFUNEは今後、就労した外国人の安心感や仕事へのモチベーション向上につながっていくような、ニーズに即したサービスを拡充していく方針だ。倉片社長によると、金融包摂の実現はSDGs(持続可能な開発目標)の一つとして世界的な潮流という。海外送金の手数料低額化などは広がりつつある。
 政府は新型コロナの水際対策として外国人の新規入国を2月末まで原則禁止するが、その後の感染状況次第では制限を緩和し、再び一定数の外国人が訪れるとみられる。倉片社長は「外国人を取り巻く環境はまだまだ整っていない」として、オートローンや住宅ローンをはじめ多様な支援の必要性と早急な環境整備を強調する。
 スルガ銀と同社はニーズの洗い出しを進めている。嵯峨社長は「外国人の生活向上や就労支援を進め、定住化につながれば」と話す。
 (東部総局・高橋和之)

 金融包摂 貧困や差別を理由に金融サービスが受けられていない人を支援し、サービスを得られるようにする取り組み。途上国には知識不足や与信力の問題で取り残されている経済的弱者が多く、貧困のサイクルから脱却できない状態となっている。新型コロナ禍で救済の機運が高まっているほか、日本では高齢者や障害者に対する支援の必要性も指摘されている。

いい茶0
メールマガジンを受信する >