中世ビール再現へ 静岡大プロジェクト、春にも原料を試験栽培

 中世の欧州で飲んでいたビールを、静岡県産の原料で再現しよう-。静岡大に今冬設置された研究組織「発酵とサステナブルな地域社会研究所」(所長・大原志麻人文社会科学部教授)が、産学官や大学の学部の壁を超えたプロジェクトを始めた。中世のビールに欠かせない植物「ヤチヤナギ」を北海道から取り寄せ、2022年春から富士宮市の醸造所が試験栽培する。

中世ビールの主要原料となるヤチヤナギ(北海道立総合研究機構林業試験場道東支場提供)
中世ビールの主要原料となるヤチヤナギ(北海道立総合研究機構林業試験場道東支場提供)
(左)ヤチヤナギの特徴を大原志麻教授(左から2人目)らに解説する脇田陽一支場長(右端)=2021年12月中旬、静岡市駿河区のふじのくに地球環境史ミュージアム
(左)ヤチヤナギの特徴を大原志麻教授(左から2人目)らに解説する脇田陽一支場長(右端)=2021年12月中旬、静岡市駿河区のふじのくに地球環境史ミュージアム
中世ビールの主要原料となるヤチヤナギ(北海道立総合研究機構林業試験場道東支場提供)
(左)ヤチヤナギの特徴を大原志麻教授(左から2人目)らに解説する脇田陽一支場長(右端)=2021年12月中旬、静岡市駿河区のふじのくに地球環境史ミュージアム

 大原教授のゼミ生が21年夏に取り組んだ、中世の欧州の庶民が飲んでいた「グルートビール」の再現実験を発展させる。スペイン史が専門の大原教授ら文系学部の教員のほか、同大の理系学部教員、富士宮市のクラフトビール醸造所「フジヤマハンターズビール」の深沢道男代表、ふじのくに地球環境史ミュージアムの岸本年郎教授も参加する。
 プロジェクトは、同ビールで香り付けに使うハーブの集合体「グルート」の主原料であるヤチヤナギを県内で育て、醸造に用いることを目指す。昨年12月中旬、ヤチヤナギの栽培技術を調べる北海道立総合研究機構林業試験場道東支場(北海道新得町)の脇田陽一支場長を静岡市駿河区の同ミュージアムに招き、主要メンバー6人が特徴や分布などについて解説を受けた。
 脇田支場長は高地の湿原に多いヤチヤナギを「絶滅危惧種で植物間競争に弱いが、肥料効果が高く作物化に適している」と紹介。自生の記録がない本県での栽培に「愛知や三重で自生している。静岡でも育つと思う」と肯定的な見方を示した。
 22年度は同機構が苗木約10本を提供する。醸造家と農家を兼ねる「フジヤマ-」の深沢代表が、醸造所近隣で栽培し、数年後の収穫を目指す。「新しいアルコール飲料に活用することも模索する」と意欲を見せた。
 大原教授は「ヤチヤナギはホップが登場するまで長くビールの主原料だった。ホップを育てにくい静岡でヤチヤナギの栽培を復活させ、ビールの原料としての道を探りたい」と展望を語った。
 

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