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特集 : 熱海土石流災害

公費解体 申請期限迫るも決められない… 熱海土石流被災者 家屋立ち入れず

 熱海市伊豆山の大規模土石流で、被災家屋の公費解体を巡り、被災者から1月末の申請期限の延長を求める声が上がっている。期限まで残り約1カ月となったが、申請件数は対象世帯の半分程度にとどまる。現地は警戒区域が設定され立ち入りができないため、解体すべきか判断が付かない被災者が多いとみられる。専門家は警戒区域設定という特殊事情を考慮し、期限の大幅延長など柔軟な対応を求める。

被災した自宅の前で「公費解体するかどうか決められない」と話す小林義幸さん(右)=28日午後、熱海市伊豆山
被災した自宅の前で「公費解体するかどうか決められない」と話す小林義幸さん(右)=28日午後、熱海市伊豆山


 「今の状況では決められない」。同市伊豆山の小学校教諭小林義幸さん(44)は訴える。土石流発生時、5人家族は全員避難して無事だったが、家屋に大量の土砂が流入し2020年4月に新築した家は大規模半壊した。1階の壁の一部が無くなった痛々しい姿をさらす。
 自宅に入ることができず、建て替えが必要なのか、改修で済むのかについて業者に診断してもらうことができないという。家の前を流れる逢初(あいぞめ)川は県が改修を進めている。小林さんは現在、近くのアパートに住む。「再建や改修を決めた後、河川拡幅に引っ掛かり、『やはり住めない』ということはないのか」。妻あゆみさん(37)も不安でいっぱいだ。
 同市によると、公費解体の対象89件のうち申請があったのは45件にとどまる。公費解体は国の災害廃棄物処理事業として行うことから、22年度内に完了させる方針という。
 日本弁護士連合会災害復興支援委員会副委員長の永野海弁護士(静岡市清水区)は「警戒区域設定という特殊事情を考慮し、単なる延長ではなく、立ち入り禁止解除後から相当期間経過した時までの延長が必要だ」と指摘する。
 熱海市環境センターの担当者は「申請期限の延長については今後の申請状況や被災者の声を聞きながら検討したい」と話す。その上で「申請後に取り下げることもできる。まずは相談してほしい」と呼び掛ける。
 ■熊本県 期限後も随時受け付け 昨年7月豪雨災害
 2020年7月の豪雨災害で甚大な被害が出た熊本県では、人吉市など23市町村で2425件の公費解体申請があった。県によると、当初同年12月までを申請期限としていたが、6市町村が最大で21年3月まで延長した。期限内に仮申請だけしてもらい、期限後に本申請してもらったり、期限後も個別事情に応じて申請を受け付けたりした。今年11月に申請を受け付けたケースもあった。同月末現在で2325件(95・5%)の解体を終えた。

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