国交省会議 中間報告詳報㊦ 中下流域 水量減少のリスク整理【大井川とリニア】

 リニア中央新幹線工事に伴う大井川の水問題を巡り、国土交通省専門家会議は19日に取りまとめた中間報告で、JR東海に対し、推計したトンネル湧水量は確定的なものではないと認識させ、中下流域の表流水量や地下水量が減少する場合のリスクを抽出して整理するよう指導した。工事前から継続的に水量を計測(モニタリング)し、大井川流域に関する情報は利水者が確認できる仕組みが重要だと記した。

中下流域の水量が減少するリスクの要因
中下流域の水量が減少するリスクの要因
今後の手続きの流れ
今後の手続きの流れ
中下流域の水量が減少するリスクの要因
今後の手続きの流れ


モニタリング情報 共有の仕組み重要

 これまでの県とJRとの対話について「リスク分析の重要性についてJR東海の認識が不十分で、リスク対応の説明も適切に行われていなかった」と指摘。流域が懸念するトンネル工事による表流水量の減少や地下水の低下範囲、県外に流出するトンネル湧水量については、JRと静岡市の水収支解析(流量予測)を使って検証した。
 予測結果の不確実性に対応するため、JRはリスクの要因を▽想定と異なる地質▽想定と異なる降水量や大規模災害の発生▽ポンプなど設備の故障▽施工の遅れ-の四つに分類した。要因ごとに、突発湧水の発生や大井川に戻す水量の減少など、発生する可能性のある事象を挙げた。その上で、発生した場合の影響の大きさや管理の難しさからリスクを重要度別に一覧にし、対応方法をまとめた。
 工事期間中にトンネル湧水が県外に流出するリスクの対策は、JRが高速長尺先進ボーリングで県境付近の断層帯に静岡側から小さな穴を掘る際に出る水を大井川に戻す方法を提示。この方法に関し「現場の状況に応じた薬液注入などの補助工法が実施可能」とし、地表から複数のボーリングで地質を調べるよりも対策として有効だとした。
 一方、工事期間中に県外流出した水を戻すために、JRが提案した「トンネル貫通後に県外流出量と同量の山梨県内のトンネル湧水を大井川に戻す」方法については、報告では対策として有効かどうか判断していない。県の担当者は「県外に流出してから戻すまでに時間差があり、中下流域の水量が保証されない可能性がある」と指摘し「全量戻し」にならないと強調する。



残土や生態系…課題多く 県部会で議論継続へ

 県や利水者が減水対策として求める「トンネル湧水の全量戻し」のほか、表流水量や地下水量の継続的な計測(モニタリング)体制、残土の処理・管理、生態系への影響などについて、中間報告は具体的な方法を示さず、残された課題の解決はJR東海と県側の協議に委ねた。県は有識者会議の専門部会で議論を継続する方針だ。
 中間報告は、工事前から工事後にかけて継続的に計測した表流水量や地下水量のデータは流域と共有するよう求めた。その頻度や体制、流域との情報共有の在り方は「管理体制等の具体的な進め方について静岡県等と調整すべきものと考える」と記載した。
 大井川上流域に計画される残土置き場に関しては、盛り土の長期的な安定性や、基準を超える自然由来の重金属を含む有害な土の処理など、継続的で具体的な方法は県などとJRが協議するとした。
 中間報告を踏まえて県は大井川利水関係協議会を来年1月に開き、報告内容やJR東海との協議の進め方を流域市町と利水関係団体に説明した上で、県専門部会を再開する方針という。
 生態系への影響の議論は現在も別の県専門部会で続いている。県側は影響を回避、低減するための具体的な方策をJRに示すよう求めている。国土交通省によると、県とJRの対話で課題が解決されない場合、水問題と同様に国交省専門家会議でも議論される。

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