国交省会議 中間報告詳報㊤ 中下流域への影響【大井川とリニア】

 リニア中央新幹線工事に伴う大井川の水問題は国土交通省の専門家会議が1年8カ月にわたる科学的な議論を経て19日に中間報告をまとめた。大井川の水源の下を貫くトンネル工事は、水を利用する志太榛原、東遠地区にどのような影響を与える可能性があるのか。中下流域の「表流水」「地下水」のそれぞれに焦点を当て、中間報告を読み解く。

中間報告に基づく大井川の水の流れ(イメージ)
中間報告に基づく大井川の水の流れ(イメージ)
リニアトンネル工事による大井川中下流域への水量の影響は?
リニアトンネル工事による大井川中下流域への水量の影響は?
中間報告に基づく大井川の水の流れ(イメージ)
リニアトンネル工事による大井川中下流域への水量の影響は?


表流水量、工事中含む全量で維持

 JR東海は水収支解析(流量予測)で、工事期間中に湧水が県外流出しても中下流域の表流水や地下水の水量が維持されると説明してきた。中間報告は「一定の前提を置いた上での計算結果で不確実性を伴う」と明記した。県外流出分を除いた県内区間のトンネル湧水で補われることに留意が必要だとも指摘した。
 トンネル掘削によって水環境は変化し、南アルプスの山体にある地下水の一部がトンネル内に湧き出てトンネル周辺で地下水位は低下するとした。地下水の貯留量が減るとともに、地表に湧き出ていた上流域の表流水の量は減るとしている。
 県や利水者が減水対策としてJRに求めている「トンネル湧水の全量戻し」は、JRが湧水の県外流出は避けられないとしている工事期間中のタイミングも含めて、全量を大井川に戻すことだと定義付けた。
 その上で、トンネル内の湧水全てを導水路トンネルなどで大井川に戻せば、中下流域の表流水の量は一時的に減る可能性があるものの最終的に上流域の表流水減少分は湧水で補われ、維持されるとした。工事期間中も含めた全量戻しの具体的な方法は記していない。
 また、JRの工事計画で想定するトンネル湧水量であれば、トンネル貫通後の全量戻しは「可能」とした。一方で、断層帯のある山梨県境付近を山梨側から上り勾配で掘削する工事計画のためトンネル貫通までは湧水が県外に流出して「全量戻しにならない」との認識を明示した。工事計画に関する是非は判断していない。



地下水量 減少分「極めて小さい」

 中下流域の地下水量への影響は、中下流域の表流水量が維持された場合に、年間6億トンに相当する表流水の変動量と比べて「極めて小さい」と推測した。上流域から中下流域まで地下をずっと流れ続ける地下水の量は流域全体で年間0~1億トンと推計されることも併記した。具体的な地点での影響の大小に関する記載はない。
 上流域の比較的浅い部分にある地下水は上流域のどこかで地表に湧き出て、表流水になったり地下水になったりしながら、下流に流れ下っているという。
 トンネル掘削によって影響を与える上流域の地下水位の低下範囲を「不確実性を伴う」とする水収支解析(予測)で示し、南に行くに連れて小さくなる傾向があるとした。また、地下水の成分分析などを総合して、中下流域の地下水は、主に上流域から流れてくる表流水や近くに降った雨から供給されていると推測した。
 「極めて小さい」の相当量について、沖大幹委員(東京大教授)は年間0~1億トンと説明。会議の事務局を担う国交省鉄道局の東海太郎環境対策企画調整官は、地下水位の低下範囲が導水路トンネル出口の椹島より南側で小さくなる傾向だと主張していて、委員と事務局で見解が分かれている。
 なお、中下流域の表流水量が維持されなかった場合の影響は記載していない。

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