テーマ : 福祉・介護

認知症で諦めた音楽 生きる力に 静岡の朝倉さん、オルガン演奏披露

 「認知症で全ての音楽道具を捨てた私が再び人前で弾けるとは」-。静岡市葵区のデイサービス施設「カフェリハ静岡千代田」が24日に開いたクリスマスコンサート。利用者の朝倉崇子さん(75)が他の利用者やスタッフを前に電子オルガンの演奏を披露した。レビー小体型認知症と診断され、体が思うように動かない。しかし、大好きな楽器を約7年ぶりに練習し、失っていた生きる気力を取り戻した。「同じ境遇の人に伝えたい。自分を受け入れ、好きなことを伸ばす大切さを」

クリスマスコンサートで手作りの赤いベレー帽をかぶって電子オルガンを演奏する朝倉崇子さん=24日、静岡市葵区のデイサービス施設「カフェリハ静岡千代田」
クリスマスコンサートで手作りの赤いベレー帽をかぶって電子オルガンを演奏する朝倉崇子さん=24日、静岡市葵区のデイサービス施設「カフェリハ静岡千代田」

 電子オルガン教室を20年以上開いていた朝倉さん。音楽が静かに流れるカフェのような同施設に通い始めて、楽器への気持ちが再燃した。「もう一度弾きたい」。自分からスタッフにそう伝え、“特訓”が始まった。真剣に練習を重ねる姿を見て同施設のマネジャー長谷部聖実さん(33)が披露の場を設けようとコンサートを企画した。
 朝倉さんは「ジングルベル」など6曲を奏でた。曲に合わせて体を揺らしたり、手拍子で盛り上げたりする人も。パイプオルガンの音色を使い、教会にいるかのような幻想的な雰囲気で曲を終えた。
 「本人の努力は相当なものでした」。リハビリを支えてきた作業療法士の片田百合子さん(28)が振り返る。簡単な和音を弾けるまでになった朝倉さんは「できないことは無理にやらなくていい。好きなことをやるのが一番」と力強く話した。
 「自分が認知症だと包み隠さずに言うのが朝倉さんのすごいところ」とマネジャーの長谷部さん。「認知症を受け入れて、自分の好きなことを伸ばしていく朝倉さんのような方が今後も増えていくのでは」と目を細めた。

 

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