年齢、体力に合わせ治療 前立腺がん特徴解説 静岡がんセンター公開講座
がん医療を学ぶ県立静岡がんセンターの公開講座2021「知っておきたいがん医療最前線」(静岡新聞社・静岡放送主催、スルガ銀行特別協賛)の第5回講座が25日、オンラインで配信された。同センター副院長の庭川要泌尿器科部長が前立腺がんの診断と治療、池田宇次血液・幹細胞移植科部長が造血器悪性腫瘍の最新治療の概要をテーマにそれぞれ講演した。

庭川部長は、前立腺がんの特徴として初期にほぼ自覚症状がなく、進行が比較的緩やかな点を説明した。前立腺がんの発生や増殖は、男性ホルモンが大きく関与しているとされるため、薬剤によるホルモン療法が有効という。一般的に副作用は軽微だが、長期投与では効果が無くなる可能性があるとした。
ホルモン療法のほか、ロボット支援下での前立腺の全摘手術や放射線療法を治療手段に挙げ、「がんの病期や組織型を把握し、年齢や体力、生活に合った治療を選択してほしい」と述べた。
池田部長は血液のがんとされる造血器悪性腫瘍を解説した。代表的な血液のがんの種類として、白血病▽骨髄異形成症候群▽多発性骨髄腫▽悪性リンパ腫―の四つに分類した。疾患の進行は速く、治療期間も長いため、治癒を長期的に計画する必要性を強調した。
正常な造血機能を回復させる造血幹細胞移植は血液を移植する治療法で、強い副作用や合併症が起こる可能性を挙げた。移植により治る機会は増えるが、危険を伴う治療にもなり、医療関係者と連携し治療する大切さを伝えた。