熊本「本震」兆候、統計処理で解析 静岡県立大・楠城特任准教授ら

 静岡県立大や中部大などの研究グループが、2016年4月に熊本県で起きた熊本地震について膨大な地震活動を統計的に処理する手法で調べたところ、「本震」発生の直前にゆっくり滑りが起きたとみられることが23日までに分かった。ゆっくり滑りの可能性は別の研究者による地震活動を解析する手法で既に判明していて、統計処理でも確認された形だ。

熊本地震前震から本震までのb値の変化
熊本地震前震から本震までのb値の変化

 小さな地震と大きな地震の発生数の割合を示す指標「b値」に着目した。一般的に地殻内に大きな力がかかっていると、大きな地震の発生数が相対的に増え、b値が低くなる傾向があることが知られている。
 16年4月14日のマグニチュード(M)6・5の「前震」から同月16日にM7・3の「本震」が起きるまでの2日間のb値を調べた。精度良く分析できるM3以上を拾ったところ、本震や前震の震源域では前震直後はb値が低かったものの、本震直前に上昇した。断層にかかる力が局所的に緩和し、本震の兆候となるゆっくり滑りが起きた可能性があるという。
 研究グループは既に、熊本地震の震源域で前震前に低かったb値が本震後、上昇したことも明らかにしている。
 研究成果は国際学術誌「テクトノフィジックス」に掲載された。研究グループを率いた県立大グローバル地域センター地震予知部門の楠城一嘉特任准教授は「地震の予知は困難だが、b値を用いて地下を監視し、周囲やいつもと様子が違うことが分かれば防災に役立つ」と話した。

 ■今後も研究必要
 熊本地震の地震活動については、東京大地震研究所の加藤愛太郎教授の研究グループが2016年10月、前震後に地震の発生域が徐々に拡大し、本震の破壊開始点に伝わり本震の発生を促した可能性を指摘した。加藤教授はb値での分析結果について「地震活動の推移を見る一つの指標として参考になる」と評価する。その上で「b値に変化はあっても地震活動が何も起きないこともあり得る。熊本地震のようにM6級の地震後さらに規模の大きい地震が起きた事例は世界的にみてもまだ少なく、b値と地震活動の関連性の研究は今後も必要だ」と指摘した。

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