沼津市内浦の憩いの場 再起へCF 地域が活気づく拠点に【湧水】

 沼津市内浦重寺で11月に起きた火災で全焼した駄菓子屋兼飲食店「とらちゃん」。地域住民の憩いの場を復活させようと、クラウドファンディング(CF)による資金調達に乗り出した。CFを通じて地域の絆を強め、内浦を多くの人に知ってもらう機会につなげてほしい。
 「とらちゃん」店主の石津太雅さん(45)は高知県から地域おこし協力隊として約4年半前に内浦地区に移住した。地域住民との交流を深め、地域の人に恩返しする場として、「親戚のお兄ちゃんの家」を目指して開店した。昼は駄菓子屋、夜はバーとして2019年9月に開業し、次第に地域に浸透。年齢を問わず住民に愛されていたという。
 火災は突然だった。11月11日未明に発生し、けが人はいなかったものの、店を含む8棟が全焼した。石津さんは子どもたちや常連客らから励ましを受け、再開を決意した。地域の若者から提案されたCFを活用し、資金を募ることを決めたという。
 12月18日時点で235人が支援を寄せ、約260万円が集まった。内浦地区は人気アニメ「ラブライブ!サンシャイン‼」の舞台の一つでもあり、ファンからの関心も高く、支援の輪が広がっているという。石津さんは「自分だけの店ではない。みんなが楽しめる空間にしていきたい」と協力に感謝する。
 CFは、地域の課題解決の手法として用いられる。CFサイトをのぞくと、スポーツによる振興、偉人の顕彰、特産物の継承など地域にまつわる多様な取り組みが画面に並ぶ。ふるさと納税と連携したプロジェクトもある。CFは誰もが地域を支援できる仕組みとして定着しつつある。
 石津さんは「(CFをきっかけに)内浦に遊びに行くねと言ってくれる人も多い。住民と訪れた人が交流できる場にできたら」と決意を新たにする。「この土地が盛り上がるのが一番」と語る姿が頼もしい。再開を遂げた時には、住民の笑顔があふれ、地域全体が活気づく拠点になってほしい。

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