コロナワクチン 「接種間違い」静岡市で相次ぐ 注射器再使用や間隔ミス… 県報告の約半数
新型コロナウイルスワクチンの接種が進む中、対象年齢未満の子どもへの接種や使用済み注射器の再使用などの「接種間違い」が静岡市で相次いでいる。今月20日までに市が公表した間違いは計23件。静岡県が市町の情報を基に国に報告した間違いは11月末時点で46件で、半数近くを同市が占めていることになる。市は再発防止に向け、医療機関への注意喚起を強化するとともに情報共有を徹底し、対策を急ぐ。

同市でこれまでに発生したミスは、使用済み注射器の再使用や接種間隔の誤り、対象年齢に満たない12歳未満への接種、新型コロナ以外のインフルエンザや帯状疱疹(ほうしん)などのワクチン接種希望者への誤接種など、多岐にわたる。県の担当者は人口規模によってミスの発生件数に差が出ることに理解を示しつつ、「静岡市の件数は確かに多い。確認をしっかりしていれば防げるミスもある」と苦言を呈す。
接種間違いの原因として、市は予診票などの確認不足のほか、接種間隔や他の予防接種との兼ね合いなど新型コロナワクチン独自のルールに対する医療従事者の認識不足を挙げる。12歳未満への誤接種は、年度内に12歳になる児童全員に市があらかじめ接種券を送ったことがミスにつながったとして「反省すべき点」と受け止める。
市は再発防止のため、集団接種会場のミーティングで発生事案の内容を共有し、張り紙を掲示するなどして医師や看護師にダブルチェックの徹底を図る。個別接種を実施する医療機関には、医師会を通じて文書で注意を促しているという。
来年2月には一般市民向けの3回目の接種がスタートし、早ければ同時期に11歳以下への接種も始まる可能性がある。ファイザー製とモデルナ製の併用や年齢による用量の違いなど、これまでにも増して円滑な接種に向けて注意点が多い。松田仁之保健所統括監は「誤接種が健康被害につながるリスクをしっかりと認識し、間違いのないように進めていきたい」と気を引き締める。