静岡県、湧水流出の問題点指摘/JR東海「減水可能性低い」 国交省会議中間報告【大井川とリニア】

 1年8カ月の議論を経てリニア中央新幹線工事に伴う大井川中下流域の水利用に関する問題の中間報告がまとまった19日、県とJR東海がそれぞれ記者会見で受け止めを説明した。県が、工事期間中にトンネル湧水が県外に流出した場合の問題点など積み残された課題を指摘する一方、JRは中間報告を根拠に「減水の可能性は低い」とする考えを強調し、認識の差が浮き彫りになった。今後の対話でその差を埋められるかが問われる。

記者会見する難波喬司副知事=19日午後、国交省(左)/記者会見するJR東海の宇野護副社長=19日午後、国交省(右)
記者会見する難波喬司副知事=19日午後、国交省(左)/記者会見するJR東海の宇野護副社長=19日午後、国交省(右)
記者会見する専門家会議座長の福岡捷二中央大教授=19日午後、国交省
記者会見する専門家会議座長の福岡捷二中央大教授=19日午後、国交省
記者会見する難波喬司副知事=19日午後、国交省(左)/記者会見するJR東海の宇野護副社長=19日午後、国交省(右)
記者会見する専門家会議座長の福岡捷二中央大教授=19日午後、国交省

 JRが中下流域で水が減る可能性が低いと主張する根拠として、二村亨中央新幹線推進本部次長は、中間報告で「河川流量の季節や年ごとの変動による影響に比べて極めて小さい」と記載されている点を挙げた。県外流出した場合については「トンネル湧水の全量を大井川に戻すことで、中下流域の河川流量が維持される」などと説明した上で「リスクがあることは認識しているのでしっかりやる」と述べたが、具体的な方法には言及しなかった。
 これに対し、難波喬司副知事は「中間報告のいいとこ取りのような説明は真摯(しんし)な対応ではない。中間報告では、中下流域への影響が少ないとされているが、不確実性があるのでしっかり対処するようにとも書かれている」とくぎを刺した。
 工事期間中に県外に流出する水の問題のほかに、発生土置き場の安全性や水質への影響に関しても、「議論が十分されていない」と指摘した。中間報告では水質管理について「適切な処理・管理が継続されれば、表流水や地下水の水量・水質などに影響をもたらすものではない」と明記された。しかし、難波副知事は「処理や管理の方法が適切なのかは評価していない」と課題を挙げた。
 JRの宇野護副社長は「中間報告の記載は私たちの取り組みの資料がベースになっていて、会議で一定の理解をいただけた。高いレベルの分析にのっとっていて、十分に県と対話できる」と述べた。
 福岡捷二座長(中央大教授)をはじめ、複数の委員から流域の不安や懸念の払拭(ふっしょく)に継続的に取り組むよう指導を受けた点には「常に真摯(しんし)な対応をしているが、指摘を謙虚に受け止めて取り組みたい」と強調した。

 ■「継続して真摯な対応を」 福岡座長
 19日に中間報告を取りまとめた国土交通省専門家会議の福岡捷二座長(中央大教授)の記者会見での主なやりとりは次の通り。
 ―中間報告を基にJR東海に対し、どのように助言するか。
 「科学的、工学的な答えだけで議論しては駄目だ。解析(流量予測)は不確実性がある。想定されるリスク(への対応)やモニタリングを実行してほしい」
 ―なぜ1年8カ月もかかったか。県からも意見書が何度も出た。
 「県から、リスクやモニタリング(の議論)が不十分ではないかと言われたが、同意する。JR東海も最初は不十分だった。相当力を入れて議論した結果が、中間報告だ。毎回の会議で問題が出た。時間がかかるのは当然だ」
 ―中間報告の「真摯(しんし)な対応を継続すべきだ」という意見に有効性はあるか。
 「当然するべきだ。真摯に対応するだけでなく、それを継続的にすべきであると、JR東海に対し指示した」
 ―JR東海の金子慎社長は「有識者会議の見解は『中下流域の水量が減る可能性は低い』と理解している」と言っている。見解として言い切れるか。
 「科学的、工学的な立場からすれば、トンネル湧水全量を戻せば河川流量は維持され、地下水の変化も非常に小さい。ただ、数値計算に頼らなくてはいけない所は条件設定があるので、それが全てではない」

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