言葉と身体、探究の舞台 SPAC冬の特別公演 静岡

 静岡県舞台芸術センター(SPAC)の冬の特別公演が静岡市内で始まった。三島由紀夫の能楽戯曲に基づく「Le Tambour de soie 綾の鼓」(静岡芸術劇場)など、言葉と身体の関係性を探究する2作品。同作はフランスを拠点に活動する笈田ヨシと伊藤郁女が、演出・振り付け・出演を担う。

「Le Tambour de soie 綾の鼓」より(c)Christophe Raynaud de Lage
「Le Tambour de soie 綾の鼓」より(c)Christophe Raynaud de Lage
「夢と錯乱」より
「夢と錯乱」より
「Le Tambour de soie 綾の鼓」より(c)Christophe Raynaud de Lage
「夢と錯乱」より

 舞台のリハーサルに臨むダンサー(伊藤)に、清掃員の老人(笈田)は恋に落ちた。ダンサーは老人に音の出ない鼓を渡し、鳴らすことができれば願いをかなえましょうと誘惑する。能楽の構成「序破急」に沿うドラマは、和楽器のリズムで緊張感を高めていく。
 「かなわぬ恋を受け入れがたいいら立ちや寂しさは全ての年寄りが持っている。僕も例外ではなく、表現するのに演技は必要ない」という笈田に誰もが感情移入してしまいそう。伊藤は、優雅なダンサーの暴力的な内面に触れ「老人に愛されることでさらに深い孤独を選んでしまう。罪悪の心を踊りや表情に込めている」と話す。
 「夢と錯乱」(舞台芸術公園楕円[だえん]堂)は、早世した詩人の自伝的散文詩に基づく一人劇。仏演出家クロード・レジが93歳で舞台化した作品は、2018年に「ふじのくに せかい演劇祭」で上演され注目を集めた。
 翌年に他界したレジへの敬意を込めて宮城聰芸術総監督が今回の演出を手掛け、戦禍への絶望や性愛の罪など深い憂うつの世界と向き合う。SPAC俳優の美加理が語り、わめき転がる狂おしさに息をのむ。
 両作品とも一般公演は18、19日。問い合わせはSPACチケットセンター<電054(202)3399>へ。

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