沼津・貨物駅移転用地を強制収用 反対派、無言の抗議

 JR沼津駅付近鉄道高架事業に伴う沼津市原地区への新貨物ターミナル整備を巡り、静岡県は19日午前、元地権者1人が物件撤去に応じていない移転用地を収用するため、行政代執行(強制収用)に踏み切った。事業に反対する元地権者ら約30人は無言で対象地沿いの道路に並び、沈黙の抗議を行った。

反対派による抗議が行われる中、作業を進める関係者=19日午前9時半ごろ、沼津市一本松
反対派による抗議が行われる中、作業を進める関係者=19日午前9時半ごろ、沼津市一本松

 対象は、明け渡し未完了地(1435平方メートル)にある元地権者が所有する工作物や立ち木など。執行責任者の名雪元・県建設支援局長が代執行宣言を行い、元地権者に代わって物件撤去を開始した。県市職員ら約80人が有刺鉄線を切断して対象地に入り、木を切り倒したり、柵を解体したりするなどした。
 代執行に抗議する元地権者らは「誰のための行政なのか」「許せない県知事の二枚舌」などと書かれたカードを首に掛けて対象地沿いに立ち、無言で作業を見詰めた。
 報道陣の取材に対し、鉄道高架を見直し沼津を元気にする市民の会の川口公文代表は「行政の強権を使い、なし崩し的に進められたことを残念に思う。事業の見直し運動は続けていく」と話した。
 同事業では県収用委員会が昨年4月、土地収用法に基づき、未買収だった移転用地7件の権利取得と明け渡しを裁決した。市は同6月に移転用地の所有権を取得、元地権者9人に物件撤去を求め、このうち1人が最終期限までに明け渡しに応じなかった。
 県は代執行請求の手続きを経て元地権者に、今年2月5日までに土地を明け渡すよう戒告書を送付したが、応じなかったため、8日に代執行令書を通知し、物件の強制撤去に至った。撤去にかかる費用は元地権者の負担となる。今後は収用地の埋蔵文化財調査や造成工事などを行った上で貨物駅を移転し、高架化工事に取り掛かる。

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