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リニア国交省専門家会議、開始から半年 流域の不安解消程遠く

(2020/11/11 08:31)
リニア大井川水問題を巡る二つの会議の違い
リニア大井川水問題を巡る二つの会議の違い
大井川流域の一般住民が傍聴できないまま6回目が開かれた国土交通省専門家会議=10月27日、国交省
大井川流域の一般住民が傍聴できないまま6回目が開かれた国土交通省専門家会議=10月27日、国交省

 4月の協議開始から半年が経過したリニア中央新幹線工事に伴う大井川流量減少問題の国土交通省専門家会議は、想定よりも進捗(しんちょく)が遅れ、長期化の様相を呈している。県が求めた「全面公開」は実現せず、会議後に非公開協議で議論を取りまとめるなど、流域住民の不安解消は程遠い状況だ。
 同省の専門家会議は県の有識者会議が膠着(こうちゃく)状態に陥ったため設置された。同省は県との事前協議で会議の全面公開や中立性などを約束。月2回のペースで進める方針だったが、JR東海の会議提出資料の作成に時間がかかるなどして半年間で6回の開催にとどまっている。
 2カ月ぶりに開かれた10月27日の第6回会議の後、主催する同省鉄道局の江口秀二技術審議官は「地元の理解を得るにはきちんとデータを示すのが早道だ」と遅れの理由を説明し、今後の見通しについては「水資源だけでなく生物多様性の話もある」と予断を持たなかった。
 JRが会議に提出した資料は、県の有識者会議への提出資料に比べ分かりやすくなったり、主張の根拠になるデータを示すようになったりして県幹部も一定の評価をしている。ただ、会議では委員から、資料に載せたデータが実態と異なる表現になっていると指摘される場面もあった。
 会議運営に関しては8月以降、会議終了後に委員が非公開で協議して「座長コメント」として方向性をまとめるようになった。その方向性は文書で報道陣に示すが、福岡捷二座長(中央大教授)は取材に応じず、専門的な見解に関する質問に同省側は明確に回答していない。県が指摘したJRの流量予測の問題点も議論されていない。

 ■利水者 中立性を疑問視
 国土交通省主催の専門家会議について、大井川流域の利水者は会議の透明性や中立性を疑問視していて、専門家会議の議論終了後に公開で開催される県有識者会議の結論を重視する考えだ。
 農家に水を供給する牧之原畑地総合整備土地改良区の三浦俊夫事務局長は「初めは(専門家会議が)中立だと感じたが、回を重ねるごとにJR寄りに傾いた。(委員の多くが)現場を見ず、データもしっかり取らないのになぜ判断できるのか」と指摘。大井川右岸土地改良区の浅羽睦巳事務局長は「今のJRや国交省の対応では不安だ」と明かした。

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