県境断層、追加調査を 破砕帯過小評価の可能性、南ア地質学者・狩野静大客員教授が指摘 リニア大井川水問題

 南アルプスの地質に詳しい狩野謙一静岡大防災総合センター客員教授(構造地質学)が2日までに、静岡新聞社の取材に応じ、リニア中央新幹線工事に伴う大井川の流量減少問題で、トンネル湧水の県外流出の要因とされる山梨県境付近の大規模断層について、追加の詳しい地質調査が必要だとの見解を明らかにした。

山梨県境付近の大規模断層の地質断面図
山梨県境付近の大規模断層の地質断面図

 JR東海による調査が不十分で、断層にある破砕帯(岩石が砕かれ、水を多く含みやすい地質)の規模を過小評価している可能性を指摘した。破砕帯の大きさは県外に流出するトンネル湧水の量に関係するため、大井川の流量減少への影響が大きくなる可能性があるとしている。
 JRは調査で、この大規模断層をボーリングし、幅800メートルの破砕帯があると推定したが、その際に「コア」と呼ばれる棒状の地質試料を採っていない。狩野氏は「(コアの有無で)地質の情報量が全く違うのでコアを採取すべきだ」と詳細なボーリング調査を求めた。周辺の地質状況から、山梨県方面や大井川直下に破砕帯が広がっている可能性に言及し、調査の範囲を拡大すべきだとした。
 狩野氏は「破砕帯の定義によっても、その幅が異なってくる」とし、JRが定義を示す必要性も指摘。また、大規模断層はJRの言う畑薙山断層ではなく、県境沿いに南北に延びる井川―大唐松山断層の一部と推定した。
 南アは、プレートの沈み込みによってはぎ取られた地質(付加体)で、破砕帯は至る所にあるという。狩野氏は「これだけの付加体にトンネルを掘ったことは世界的にない。うまくいけば画期的だ」と述べた。

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