JRの流量予測「渇水時精度低い」 静岡県が指摘

 リニア中央新幹線工事によって大井川を流れる水量がどのぐらい変化するのかを試算したJR東海の「流量予測」の精度が、渇水時に限ると大きく低下することが11日までに、県の指摘で分かった。流量予測に基づいて「トンネル工事で大井川の水は減らない」と主張してきたJRの説明の根拠が揺らぐ可能性があり、県とJRの協議や国土交通省の専門家会議の議論で論点になりそうだ。

JR東海が作成した予測流量と実測値の相関を表したグラフ 県が「渇水時」を抜き出して作成したグラフ
JR東海が作成した予測流量と実測値の相関を表したグラフ 県が「渇水時」を抜き出して作成したグラフ

 JRは2月に県議会最大会派自民改革会議の勉強会で配布した資料に「水収支解析(流量予測)によれば、工事のどの段階も河川流量は減少しない」と記載するなど、流量予測の数値を、トンネル工事が中下流域の水利用には影響しないとする根拠にしていた。

 ■“からくり”
 3月の県議会委員会の集中審査でも、JRの宇野護副社長が「大変、再現性が高いと専門家から言われている」と発言。予測した水量が実際の水量とどのぐらい近いのかを表す「相関係数」は0・92だとして、精度の高さを強調した。この係数が1に近いほど予測の精度が高いとされる。
 しかし、県関係者は「この数字にはからくりがある」と説明する。JRは計算の基になるデータに大雨が降った場合などの「増水時」を含めて係数を算出しているが、県によると、流量が少なくなる「渇水時」に限って計算すると、係数は0・04になるという。県の担当者は「流量の減少が問題になるのは渇水時で、そうした状況だと予測の精度は低くなる」と指摘する。

 ■補償に影響も
 流量予測の精度は、中下流域の水利用に影響が出た場合のJRによる補償にも関わる。JRは自民の勉強会で配布した資料で、実際の流量がトンネル工事をしない場合の予測値を下回れば、工事と影響の因果関係を調査すると明記した。だが、予測値の精度が低ければ、調査や補償の可否が適切に判断できなくなることも考えられる。県の担当者は「JRが採用する計算方法で全てを考えられては困る。(予測値は)振れ幅が大きいことを念頭に対策を講じなければならない」とする。
 こうした県側の懸念について、JRは取材に「そうした問題は把握しておらず、コメントできない」とした。

 <メモ>流量予測 トンネル工事によってトンネル内から湧き出てくる水の量と、影響で減少する川の水量を推定する。リニアの南アルプストンネル静岡工区については、JR東海が山梨県内で採取した地質や静岡県内の地表の状況を踏まえて算出しているが、具体的な計算方法は公表していない。複数の予測方法があり、JRは過去のトンネル工事で導入された方法を採用したと説明しているが、県側は「JRの方法は時代遅れで、最新の方法を採用すべきだ」と提案している。

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