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掛川でリニア水問題シンポ 市民に水不足の懸念訴え

(2019/12/4 07:32)
大井川の利水者を交えて意見交換したパネル討論=3日午後、掛川市生涯学習センター
大井川の利水者を交えて意見交換したパネル討論=3日午後、掛川市生涯学習センター

 掛川市は3日、リニア中央新幹線工事に伴う大井川の流量減少問題をテーマにした「掛川の水について考えるシンポジウム」を市内で開いた。大井川水系に水資源を依存する市として、市民に現状や問題点を理解してもらう狙い。流量減少問題で流域市町が討論会を開くのは初めて。
 難波喬司副知事が基調講演し、市内の農工業団体や医療機関の代表者ら5人がパネル討論で水不足に苦しんできた歴史やリニア工事への懸念を訴えた。市民の関心は高く、約500人が聴講。松井三郎市長はJR東海にも開催案内を送ったと明らかにし「今日の議論を国やJR東海に伝えたい」と強調した。
 討論で富士東製茶農協の平井文男組合長は、2000年5月に新東名高速道のトンネル掘削工事で、東山地区の簡易水道や沢が枯れた歴史を詳述した。
 平井組合長は、製茶に必要な水が出なくなり遠方から水を運んだことや、事業主体の日本道路公団に工事と水枯れの因果関係を認めさせるまでに苦心したと振り返り、「JR東海は正しい数字を出しているのか、水枯れの経験がある自分たちは信用できなくなっている」と吐露した。
 大井川右岸土地改良区の水野薫理事は、市内の畑地かんがいの歴史に触れ「水が無く、芋や麦しか作れなかった土地が、先人の努力で果物や野菜を栽培できるようになった。JR東海はじっくり研究して大切な水が切れることのないようにしてほしい」と求めた。

 ■湧水「県民共有の財産」 基調講演で難波副知事
 難波喬司副知事は3日、掛川市主催のシンポジウムの基調講演で、リニア県内区間のトンネル湧水が県外に流出しても、大井川の水が減らないとする金子慎JR東海社長の主張について「全く理解できない。流出した水は決して大井川水系に戻らず、水系全体の水は必ず減る。話にならない」と批判した。
 水循環基本法や県地下水採取条例を踏まえ「トンネル内に出てくる湧水はJRの水ではなく県民共有の財産だ。それをJRがよそに流す権利はどこにもない」とも指摘した。
 一方で「頼りになるのは水を利用する人が『命の水』だと声を上げて頑張れと言ってくれること」と述べ、課題解決に向け利水者の協力を求めた。
 パネル討論では「水が減ったことの立証はハードルが高い。補償の約束を取り付けておかないと、後々泣き寝入りする」と強調。「JRには相手の気持ちに寄り添う姿勢が足りない」とし、利水者の思いをJRに伝えていく考えを示した。

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